内容説明
第一部の各論は、芥川の文学の出発時点への注目から生まれたものであり、『羅生門』『鼻』『芋粥』『偸盗』に重点をおいて、作品の構造・主題・方法・形成過程などを総合的に論じようとした。第二部の各論は、中期の一々の作品に対する注目から作者の方法に対する注目へと、問題意識が推移している。第三部の各論は、筆者の中では、それぞれに芥川の文学についてのまとめのための論文である。
目次
『羅生門』論
『羅生門』への過程
『鼻』・『芋粥』論
『偸盗』と風景
『戯作三昧』の振幅
『地獄変』の構造
『奉教人の死』における両極
物語と語り手
『藪の中』の語り手たち
群像を描く
「野性」の系譜
批判の方法
『歯車』のことば
晩年の位置