感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
双海(ふたみ)
7
松村さんは「塔」元編集長。「地下鉄に少女は眉を引いていくわれをさみしき観客にして」「君の掌にりんごは皮を剥かれつつくるりくるりと自転しており」「分娩室に寝たまま君はゆっくりと微笑む初めて会いし日のごと」2023/11/23
夏野菜
4
松村正直という歌人が気になっていた。東大を卒業後定職につかず全国を放浪。啄木に影響されて短歌をはじめる。現在は結婚し、京都在住、塔の編集長。初期の歌集は高く手が出ないと思っていたらBOOKOFFの百円棚で偶然見つけた。これは第二歌集。京都に定住し、結婚した後の日常に潜む違和感を歌う。穂村弘も引用していた、やさしい鮫の歌が有名だが、「仰向けに死にゆく蝉に指先を差し出してわが青春期終わる」「アルバムを子どもの写真で埋めていく/限りない未来など/もうなくて」などの青春が終わる痛みや不安を歌った歌が好きだ。2013/11/04
うっかり
3
すごく淋しそうだ。2018/03/28
浦和みかん
3
子どもが生まれた頃の歌集で、子の歌や奥さんとの関係性の微妙なところが多く詠われている。あと興味を持ったのは戦争を思う歌が割と多い点。2017/02/15
はち
3
松村正直さんの第二歌集。第三歌集とはだいぶ雰囲気が異なり、青春の残りと格闘している雰囲気がある。結婚し、子供はいるが社会人としてはかなり不安定な立ち位置にいたようだ。表題の歌がよく取り上げられるし、表紙のデザインやフォントと中身のギャップが激しい。文体的にも文語中心なのに口語的な歌が混じり試行錯誤している様子がよくわかる。様々な点で不安定だったのでは。2016/07/08