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ボヌール・デ・ダム百貨店

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  • サイズ A5判/ページ数 569p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784846004002
  • NDC分類 953
  • Cコード C0097

内容説明

消費社会の起源を刻明に描いた百貨店の物語。ボヌール・デ・ダム百貨店、120年ぶりに新装オープン。ゾラが見た消費の神殿。くりひろげられる魅惑・労働・恋愛、本邦初訳・完訳版。

著者等紹介

伊藤桂子[イトウケイコ]
愛知県立大学フランス学科卒業。大阪大学大学院文学研究科修士課程修了。著述、翻訳に従事
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

(C17H26O4)

72
時は19世紀後半、「ボヌール・デ・ダム」(婦人たちの幸福)という名の百貨店が舞台。百貨店が消費主義、資本主義の「機械」装置として描かれているのがおぞましいようだった。経済至上主義の店主が客にとって魅力的な仕掛けを次々と展開し店を急激に成長拡大させていく一方、裏側では近隣の商店が潰される悲惨な状況があり、店員同士の軋轢や待遇などの深刻な問題もある。それは現代に通ずるところも多くて、繰り広げられている場面を容易に目に浮かべることができた。女性客が百貨店の魅力に取り憑かれて呑み込まれていく様子、→2021/01/04

NAO

53
好奇心が旺盛で熱に浮かされやすい女性の本質を見抜き、購買意欲をそそるディスプレイと仕掛け、派手な宣伝などで女性たちの心をつかんだ百貨店。その陰で破産に追い込まれていく旧商店主たちや百貨店の労働条件の悪さもしっかりと描かれているが、そういった問題点をちゃんと見ていながらも、新時代の華やかな百貨店に魅かれずにはいられないドゥニーズの心理が巧みに描かれ、共感が持てた。全体的にバーゲンセール時のような明るい雰囲気に包まれ、最後はムーレが善良なドゥニーズと結ばれるという、このシリーズには珍しいハッピーエンド。2016/12/30

syaori

26
面白いです。百貨店の台頭とその周辺の人々の様子が描かれます。ボヌール・デ・ダムとは夫人たちの幸福という意味。まず百貨店に集まるたくさんのレースやドレス、美しい布、凝ったディスプレイなどに目が眩んでしまいますが、その陰の部分、時代に取り残されて破産し店を潰さなければならない古くからの小売店の苦境もきちんと描かれます。ただ、上り調子の百貨店で働く人々や客の奥様方の様子が生き生きと描かれるうえ、売り子としてキャリアを積む慎ましく善良なヒロインが幸せを掴む結末ということもあって、読んでいてとても楽しかったです。2016/04/11

きりぱい

12
叢書第11巻。ぶわー(涙)よかったー!そして面白かった~!まるで巨大デパート密着24時。思えば結構な長さなのに話は単純で舞台も狭い。輝くディスプレイ、押し寄せる客たち、その裏で従業員たちは・・と、人間模様もエキサイティングに商売テクニックや競争、風俗までぎっしり。弟二人を抱え、田舎から出てきたばかりのドゥニーズはそこで職を得るが、周囲の嫌がらせに渡り合う鎧は純真な優しさだけときた。百貨店店主が4巻で悲惨な憂き目にあったムーレ家の長男オクターブ。彼が最後に望むものは何か?とにかく痛快。2011/03/08

みけのすずね

10
二人の弟を抱えてパリに出てきた貧相なドゥニーズが、曰く付きのきらびやかな百貨店の売り子となり…本の厚みにたじろぎながらも、商戦や女性たちの購買欲、魅力的な商品がずらりとそろっている様が押し寄せてくるのを横にして歩くように読みました。女性たちを支配しようと商戦を創造していく店主の前に現れた、優しく慎ましいドゥニーズ。欲の機械のような百貨店に、意思の力に根ざした愛情と優しさが循環してゆく。2017/01/08

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