内容説明
本書は半導体物理の分野で著名なA.Shikの同名の原書の日本語訳である。原書は、2次元電子系の多様な話題が基礎から応用にわたって実にコンパクトに書かれていることで知られる良書であり、整数・分数量子ホール効果やアンダーソン局在など、最近の基礎科学的な話題にもふれながら2次元電子系の面白さ、奥深さを学ぶことができる。本書では、かなりの数の訳注に加え、原書を理解する上で必要な量子力学、統計物理学、固体電子論の基礎事項や原書内容の補足説明を補遺として末尾に加えることで、本書のみで閉じた理解が得られるように配慮されている。基礎となる物理学の知識を学びながら、デバイス物理の分野で研究を始めようとする学生、研究者、技術者のための格好の入門書であるだけでなく、近年盛んに研究されているメゾスコピック現象の研究を目指す者にとっても、研究の舞台背景(電子系の形成方法や応用科学的側面など)を学ぶ上で大いに役立つ一冊である。
目次
1 はじめに
2 一般的な概念
3 2次元電子ガスを持つ構造
4 エネルギースペクトルとキャリアーの統計
5 2次元系の光学的性質
6 2次元系における動的現象
7 高磁場下での現象
8 量子井戸構造での縦方向伝導
9 2次元電子系の素子への応用
原書付録 関連する物理量の数値
著者等紹介
岩渕修一[イワブチシュウイチ]
1979年名古屋大学大学院理学研究科博士課程修了(理学博士)。1979年名城大学講師。1981年京都大学基礎物理学研究所研究員。1982年京都大学基礎物理学研究所講師。1982年ベルリン自由大学理論物理学研究所客員研究員。1985年(株)東芝入社。東芝ULSI研究所研究第2部、東芝研究開発センター基礎研究所主任研究員。1997年奈良女子大学理学部物理科学科/大学院人間文化研究科助教授。2000年奈良女子大学理学部物理科学科/大学院人間文化研究科教授。現在に至る。専攻は物性理論、メゾスコピック系の物理学、低次元電子系の物理学、厳密解
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