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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
恋
7
立原道造、それは母が子供の頃に愛読した作家。彼は私の墓標を、愛のロザリオを取り払って逝った。 「物語」という巻末の作品まで苦しかった。晴れ晴れと牧歌的で爽やかな詩が暗く翳るのを、歯ぎしりをして読む。 だが、最後の「物語」で「アンリエットのその村」という彼自身が繰り返し想い描いたモチーフを彼の言い訳として読んだ時、私は狐に摘まれた想いになった。 彼の愛は、世の人の愛と少し違っていた。それは、不器用な点と、清廉さを愛する点で、彼自身に穢れを許さなかった。私は、そこに痛く感動をし、呼吸を許された想いです。2023/02/15