内容説明
本書は、気鋭の啄木研究家として実績のある著者が、これまでの諸家の論考のすべてを踏まえながら、独自で新鮮な切り口から、新しい啄木像を構築する力篇。
目次
啄木という存在―「はたらけど」の歌をどう読むか
1 『一握の砂』にいたる抒情(野に叫ぶ抒情―「血に染めし」歌の成立;メデューサの首―「石破集」の風景;歌へるは誰そ―「莫復問」の位置;自選歌の主題―『一握の砂』の原風景)
2 『一握の砂』―視線の劇化(まなざしの歌集『一握の砂』;「穏かならぬ目付」の啄木;幻想の森への回帰―明治41年秋の記念;『一握の砂』の最終歌)
3 『悲しき玩具』―末期の歌の方法(末期の眼でうたう啄木;飛翔する林中の鳥―「閑古鳥」四首の世界;死地に挑む抒情―「目を閉じる」啄木)