内容説明
一般に、ジャポニカ種として知られる日本の米が、どこで生まれ、どのような経路で極東の島国日本にもたらされたのか?これまでの学説の主流はアッサム起源説に傾き、脚光をあびてきたが、気候、風土、降雨量などで類似性の著しい雲南地方にも、野生の稲の原種があった。雲南の稲はジャポニカ種である。雲南は東南アジアに流れるソンコイ川、メコン川、サルウィン川の河源に位置し、有史以前にこれらの川を溯ってアッサムの稲が中国に伝播することがありえようか。この点に着目して、有史以来の史書や地理書、本草学の古文記を渉猟分析、考古発掘の資料と対照することによって、米のきた道を明らかにした新しい試みである。
目次
稲が食べられることを知った
野生の稲はどこで生まれたか
雲南で生まれたジャポニカ
四川の稲は雲南から伝わった
山東から朝鮮へ渡る
赤米の島伝いを語る
1200年伝世の正倉院の米〔ほか〕