知的生きかた文庫<br> 歴史の終わり〈上〉

知的生きかた文庫
歴史の終わり〈上〉

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  • サイズ 文庫判/ページ数 260p/高さ 15X11cm
  • 商品コード 9784837905509
  • NDC分類 209.7
  • Cコード C0130

目次

第1部 なぜいま1つの歴史が終わりを告げるのか―世界史における歴史的「大転換」とその内部構造(20世紀がもたらした最大の「歴史的教訓」;「強国」の致命的弱点;あまりにも貧しすぎた「超大国」;「千年王国」の旗手)
第2部 幻想のうちに崩壊した「自由の王国」―ヘーゲルの予言はなぜマルクスよりも正確だったのか(人間にとって「普遍的な歴史」とは何か;歴史に見る人間の「欲望」のメカニズム;歴史は決して「逆流」しない;社会進歩のメカニズムと資本主義体制)

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

さきん

30
歴史の終わりという非常に自由主義、理性を信じる保守の対極に基づいた内容と思われるのに、保守主義を称する渡辺昇一氏が訳するという意外性。ニーチェはひとまず脇に置きつつ、ヘーゲルの善き社会の在り方があるというのを信じているのが印象的であった。その善き社会を目指すための民主制政治、自由経済に大方全ての方向に向かい、イデオロギーでの対立という意味での歴史は終わるということか。ソ連崩壊もしかりだが、ラテン諸国やアフリカ、東南アジアの民主化もタイミングよく続き、一種の運命のように感じたと思われる。2022/04/06

Miyako Hongo

16
もうちょっと経済・ビジネス寄りの本かと思ってたらやたら政治哲学寄りだった。ソ連崩壊のをうけて書かれた民主主義最強!を主張する本。それとヘーゲル最高!と。 □万人に平等な科学は蓄積的に進歩してゆく。科学が産業を発達させる。だから歴史は逆流しない。神権政治や王政や全体主義を経て、資本主義と相性のいい民主主義で社会制度の進歩はおしまいだ、という論旨。 □ネットを介した住民直接参加の予算編成(民主主義2.0)が始まってたり、富を集中させる資本主義の構造欠陥を考えるとなんだかな。まあ、20年前の本だもんな。2014/08/24

猫丸

12
パッと見るとPHP文庫みたいなデザイン。しかも訳者が渡辺昇一。これだけで敬遠する人も多いと思われる。大衆路線転換後の三笠書房「知的生き方文庫」。やはり通常の本読みの手は出にくいなあ。全般的に容れ物で損している感があるものの、中身は意外に先進的である。1992年。先立つ東欧・ソヴィエト・中国における大変動を受けて書かれた文明史研究だ。僕の基本的思想形成に大きく寄与した著を再読してみた。歴史は終わる。自然科学の進展に見合う資本主義体制の完成と、それを実現するリベラルな自由主義が貫徹された社会が終点だ。2020/04/10

白義

11
リベラルデモクラシーに対応した、終末論的歴史哲学の現代版。これまでの承認を闘争によって展開されてきた歴史は、資本主義とリベラルデモクラシーの普及により終わりを告げようとしている、という内容。上巻えはそれを証明するために具体的な各国民主化や市場化の進展の膨大な事例が列挙されている。カント、ルソー、コジェーブを継ぐ数少ない歴史哲学書として、またリベラルデモクラシーの未来を占う政治経済学の書として、いまだに侮れないインパクトがある。案外読まれないまま批判されているが、一回は読んだ方がいい2012/06/14

NICK

4
「歴史の終わり」といえば昨今のポストモダン思想の前提となっている感があるが、実際に読んだことがなかったので手にとってみた。上巻は世界の社会主義政権や独裁主義政権がいかにして思想的正統性を失い、民主化や資本主義化によって崩壊していったかが細かに論証されている。グローバル化していく資本主義やリベラルな民主主義がキリスト教やあるいはカントやヘーゲルの思い描いていた普遍的歴史(つまり終末論的歴史?)を終わらせるとはどういうことか。早く中巻を読もうと思った。2012/10/11

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