鏡の影

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  • サイズ B6判/ページ数 336p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784835440705
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

内容説明

中世ヨーロッパ、土埃にまみれ泥酔した農民たちは「野良靴を居酒屋の入口に掲げ」て、世の中を変えるために坊さんを吊るそうとしていた。だが、ヨハネスにとって、全世界を変えるにはたった一点を変えるだけで充分に見えた。世界の奥義に気付いてしまった彼の呪われた人生が始まった。惑星直列、占星術、妖術、異端審問、宗教論争、政治、そして見え隠れする堕天使…退廃と知に彩られたドグマ崩壊を描く壮大な物語。「『日蝕』の贋作疑惑騒動とは別」に「90年代の日本文学の大きな収穫」は「いつでも手に入る状態にあるべきだ」との多くの示唆についに復刊。

著者等紹介

佐藤亜紀[サトウアキ]
1962年生。1991年『バルタザールの遍歴』でデビュー。2003年『天使』で芸術選奨新人賞受賞
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

マウリツィウス

21
【IMAGO/IN/SPECULO】『鏡の影』の表出言語はネルヴァル的異要素を踏まえていく。志賀直哉に準えた新約=新製言語と捉えることで擬似アポクリファ形成を兼ねる。そしてショーレム照応において作家性は異端属性=グノーシス文書を明らかに蔑し超常現象/正統カバラ研究において崩壊させた。新約聖書始原たる《処女懐胎》を終焉に、黙示録逆転は異端黙示録そしてドグマ批判。佐藤亜紀は抹消表現を連続させることで古典主義/現代思想を同一視破壊-この先駆性こそが逆にセクト的評価を呈し、彼女の資質の疑問視/崇敬の両義証を示す。2013/06/10

賽子

7
★★★★★・・・佐藤亜紀の長編第三作で、いろいろな事情で何度も絶版、復刊を繰り返す不死鳥のような本。ハードカバー初版のヒエロニムス・ボッシュの表紙が一番好きでした。世界を変える一点を求める錬金術師のお話。読むのは4度目くらいですが、ラストが難解なので、何度も読み返す毎に理解していっている感じです。ちなみにこの本は平野啓一郎に盗作された「かも」という問題があるのですが、その虚実はともかく、こちらの方が100倍は面白いです。作家にとってはそっちの方が大事なんじゃないかなぁ。2008/08/31

乙郎さん

7
読んでいると日本人作家の作品だということを忘れてしまう。ファンタジーの枠に留まらない歴史的な息遣いがこの荒唐無稽な話に説得力を与えているのだと思う。神を脱する物語かと思ったが、ラストの意図が正直わからない。きっと解釈が分かれると思う。2009/03/22

愛玉子

5
世界を覆す一点を探す学僧ヨハネスは、錬金術の世界に足を踏み入れる。時代は中世ドイツ、ばれたら異端とされ火炙りにもなりかねない。そんな状況なのに切羽詰った感もなくダメダメなヨハネスも良いのだが、メフィストフェレスを思わせる少年シュピーゲルクランツがまた魅力的。それにしてもこの方、堕落していく男の描写は本当に上手だなぁ(笑)。2009/09/24

Junichi Watanabe

3
#読了 。中世ヨーロッパの宗教、特に悪魔や異端審問等を題材にした物語。この手の話は、佐藤亜紀の右に出るものはいないと思う。2023/12/12

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