出版社内容情報
18才の時に見た小村の写真がすべての始まりだった??取材中に急逝した著者の、アラスカへの熱い思いを伝える7編の撮影旅行記。
<読んであげるなら>---
<自分で読むなら>中学生から
目次
シシュマレフ村
カリブーを追って
氷の国へ―グレイシャーベイへの旅
オーロラを求めて
北極への門―ブルックス山脈の山旅
クジラの民
新しい旅
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
370
1971年、星野道夫17歳の回想から始まる物語。エッセイなのだが、それはあたかも星野がアラスカとともにあり、アラスカを駆け抜けた物語でもあった。ナショナルジオグラフィック紙で見たシシュマレフ村の写真。それが星野とアラスカとの生涯かけての幸福な出会いだった。私がアラスカに行くことはないだろうが、星野道夫の本はその酷薄なまでの大地と大気を運んでくれる。もう1つは圧倒的なまでの孤独だ。これもまた自分では生涯体験することはないだろう。そして、本書で星野は自身にとってさえも、たった1回だけの体験を語るのだ。2017/05/05
naoっぴ
85
星野道夫さんによるアラスカの壮大なドキュメンタリー。面白かった!氷河の川をカヤックひとつで一ヶ月半旅したり、厳冬期のアラスカ山脈マイナス50度(‼)の世界のオーロラキャンプ、エスキモーの伝統クジラ漁の感動の体験など、未知の世界の大冒険の数々に驚くばかり。時折挟まれる写真でそのリアルな様子が伺える。著者の生存ギリギリの体験の中で、アラスカ先住民の狩猟民が負う生存の不確実性とそこから生まれる自然観が次第に浮き彫りにされ、厳かな気持ちに。圧倒的な体験と貴重な気づきを共有させてもらい、もう感無量…。2016/06/24
ぶち
74
星野道夫が単なる自然写真家や動物写真家ではないことは、彼の文章を読むとわかります。写真は星野さんにとっての目的ではなく、旅の一瞬をただ写し取っただけで、アラスカの地で続けてきた旅の一環なんですね。星野さんの旅とは、悠久の昔から続いてきた人々や動物の営みを自らの目で見、肌で感じること。だからこそ、エスキモーの長老やアラスカのパイオニア達の話を聞き、ワタリガラスの伝説を追い、トーテムポールを写真に収めるんです。星野さんが撮ったエスキモーの長老達の写真を見ると、私が先祖から受け継いであろう魂が揺さぶられます。2018/02/13
NAO
66
エスキモー独特のクジラ漁。移動するカリブーの群れを撮るため、たった一人で過ごした一ヶ月半。フィヨルド側からしか見ることのできない氷河の先端を撮るために出かけていったカヤックでの旅。マッキンレーに降り注ぐオーロラ。極限状態で撮られた星野道夫の写真は、どれも静謐で、神々しいほどだ。命がけで向かってくる者には、神も自然の最も美しい部分を見せてくれるのだ、と思えるほどに。2018/12/14
あかぽち
12
じつはこの本の前に「アフリカ旅日記」を読んでいたけど、この後すぐに亡くなったと知り、切なくて感想をかけなかった。そしてこの本。星野さんはアラスカが、大自然がなんて似合うんだろう。そしてエスキモーの人たちの暮らしの光と影…今も鯨猟をしているのかな。していると良いな。カヤックで旅するグレイシャーベイの旅は本当にゾクゾクした!キャンプは星野流が圧倒的に面白い!!人の立ち位置を考えさせられる本でした。2024/02/16