目次
第1部 序:第2部 モラルと概念システム
第3部 家族に基づくモラルから政治へ
第4部 実際の政治難問
第5部 まとめ
第6部 誰が正しいのか,どうしてわかるのか
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
roughfractus02
7
前著『詩と認知』で古今の詩の基本的比喩の写像に偏向があるとした著者は、身体と世界の関係表現に文化的な諸力の関与を見出した。ここから本書はアメリカの保守とリベラルの比喩に潜む文化的無意識を掘り下げる。著者は文化を父権的社会と家族内の力関係の写像とし、父親の支配期間の長さが政治的な従順さと反抗の度合いに関与すると捉える。隠喩使用のみに無意識の偏差を読んだ点で異論も多い本書だが、信念や意図の所在を個人から社会的な言語使用に移行して隠喩分析の場面を用意し具体例を示したことは、情報操作分析に繋がる点からも興味深い。2021/12/21
Kazuki Yama
1
アメリカにおける保守がいう「コトバ」の概念的metaphorについて論じられている。個人的な関心は、レイコフは5章「厳しい父親モデル」でモラル的境界線は、人間の概念システムの中で非常に重要な、人生は旅であるというメタファーと連携する。だから人々の行動が道から「外れた」といわれた場合、「外れた」行動は伝統なモラルの価値観に反するであり、共同体を守るためには人々はこのような人間を隔離・追放するという話には共感を覚える。そして、これらは人間の排除と同質化の一体性をも指摘できるため、非常に的を射た見解だと思う。2011/07/16