内容説明
昭和13年、ナチスの迫害から逃れたユダヤ難民を酷寒の満州で救済、18年には北方軍司令官として北太平洋のアッツ島玉砕、キスカ島無血撤退を指揮した軍人の半生記。
目次
第1部 軍人生活の前奏曲
第2部 シベリアの謀略戦
第3部 朝鮮の思い出
第4部 ポーランド駐在武官
第5部 革新の気みなぎる軍の中枢部に
第6部 在満師団参謀長、ドイツへの旅
第7部 ユダヤの難民二万を救う
第8部 アッツ、キスカ作戦を指導
感想・レビュー
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Miyoshi Hirotaka
18
樋口季一郎の青年期は、わが国が大陸に活動領域を広げた時期。シベリア出兵を機に暗躍跋扈するロシアの過激派や支那の匪賊への対応に迫られ、動乱の時代に突入した。樋口は外国語に興味を覚え、ドイツ語とロシア語をマスター。外国生活も長く、革命直後の極東を皮切りに朝鮮、ポーランド、青島、ハルピン、ベルリンに勤務。樋口を有名にしたユダヤ人難民救出は、錯綜する状況の下、自分の中で問題と課題を隣人愛にまで単純化した成果。アッツ・キスカ軍司令官としての厳しい判断や終戦後に占守島の自衛戦を即断したことは、高い問題整理能力の賜物。2021/03/07