出版社内容情報
かつてのベストセラー作家で、「八切史観」と呼ばれた独自の歴史観を展開した八切止夫。官製の歴史を廃した数々の戦国史、自ら設立した「日本シェル出版」での経営者としての側面、晩年の実証サンカ研究など、その活動は多岐に及ぶ。著作集が刊行されて、再評価の気運が高まる八切の謎に包まれた生涯と仕事を再検証する。
入門・八切史観(礫川全次)
八切止夫年譜(若狭邦男)
八切止夫サンカ論の検証~尾張サンカの研究資料としての吟味(飯尾恭之)
八切原住民史観と太田竜の「日本原住民」(青木茂雄)
父を語る 矢留楯夫(聞き手・若狭邦男)
八切止夫雑感~古書店主から見た八切止夫(中川道弘、聞き手・礫川全次+本誌編集部)
八切の徳川家康替玉説を読む(礫川全次)
八切止夫著作目録(関内孝雄)
八切止夫装幀コレクション
八切止夫の「遊女論考」に因んで(田村 勇)
【覆刻掲載】「探偵小説 だるま貞女」『小説倶楽部』より
インターネットに見る八切止夫(中元宏)
【会員通信】鯨塚に何故か魅せられて(親海楽竿)
【コラム】神武天皇は石器時代人か(片山美洋)
【コラム】「マグイノリ」は実在した!(利田敏)
インフォメーション・次号予告
執筆者略歴
編集後記
八切止夫(やぎり・とめお 一九一六~一九八七)といっても、若い読者には殆どなじみのない名前であろう。かつて次々と歴史小説を発表していた「ベストセラー作家」である。一流新聞に小説の連載をおこなっていたほか、小文やコラムの書き手としても、各種雑誌にたびたび登場した。絶頂期であった昭和四六年(一九七一)には、一年間に二十三冊の単行本を出すという「偉業」を成し遂げている。
小説家としての才能に恵まれていたのはもちろんだが、歴史学にも造詣が深く、特に戦国史に強かった。博識でかつ諸資料に通じており、どのような素材を扱っても、意外な切り口を用意して読者を驚かせ、また楽しませた。
単なる歴史小説家というよりは、次々と異説を繰り出す異色の在野史家というイメージがあり、それがまた八切という作家の人気の秘密でもあった。
経歴等は謎が多く、生年も戸籍上は大正三年(一九一四)となっているが、実際は大正五年(一九一六)だったといわれる。昭和四七年(一九七二)ごろ、自ら日本シェル出版を設立し、以後はほとんどの作品を、この出版社から発行してゆくことになる。引っぱり凧だったベストセラー作家が、なぜこのような挙に出たのかということに
好評『歴史民俗学』の21号は、八切止夫(やぎりとめお)にスポットを当てます。全盛期は大手の出版社から一年間に20冊以上の単行本を出版していた「奇才」ですが、現在では彼の名を知る人は多いとは言えません。まだその全貌がつかめきれていない八切止夫の魅力と、その圧倒的な存在を知る切っ掛けに本書がなってくれればうれしく思います(批評社・編集部)。
感想・レビュー
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ymazda1
紫