内容説明
現代のハイテク化された種々の工学的技術においても、その基礎となる部分は過去の遺産を引き継いでいる。特に、建築・土木、海上および陸上輸送などにおける基本的テクニックはギリシャ・ローマ世界の高度な技術水準に負っている部分が大きい。きわめて限られた動力源しかなかった時代に、ギリシャ・ローマの技術者理論家が、どのようにして壮大な神殿や水道施設を造りあげたのか、本書は、当時の工学的技術を文献的調査だけでなく実験考古学に基づく工学的検証を含めて具体的に紹介する。
目次
第1章 動力とエネルギー源
第2章 水の供給と処理
第3章 揚水器
第4章 クレーンとウインチ
第5章 カタパルト
第6章 船と海上輸送
第7章 陸上輸送
第8章 理論的知識の進歩
第9章 技術に関するギリシャ・ローマの主要な著述家
感想・レビュー
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六点
66
古代ギリシャとローマの「技術」を復元した古典的著作とも言える作品である。動力源とエネルギー、水道とポンプ、クレーンとウィンチ、カタパルト、そして当時の主要な著作家の解説に至るまで基本書のあるべき姿とも言える結構を備えた本である。どの分野においても、その技術が当時の粋を凝らしたものであればあるほど、「鉄」という金属素材の有難味と重宝さが身に沁みる。精密加工もでき、構造材としても錬鉄から特殊鋼に至るまで、何でも使い放題である。古代の凄さの影から見えてくる現代技術の物凄さを感じたことであるよ。2020/08/05