内容説明
母は男たちによって、いつも幼い日の夢とともに語られてきた。だが、娘にとっての母は、男たちが語ってきたような、郷愁としての母物語ではありえない。娘にとっての母とは何か。今、母にとっての娘とは…。女と女の関係、女同士の影響と絆、母娘関係の葛藤の深層。変容する「母」とそのメタフォアを分析しつつ、「女という存在」を問い直す。
目次
序 「母と娘」をめぐるフェミニズムの現在
1 母と娘は生き延びることができるか―変容する母娘関係をみつめて
2 イリガライの母娘関係論を読む―日本・西欧比較の方法に向けて
3 母なるものを求めつつ―少女マンガ・大島弓子の世界
4 娘による母物語から母による母物語へ―近代文学の中の母と娘
5 金井美恵子における「少女」と「母権」
6 「母」に出会う旅―津島佑子『風よ、空駆ける風よ』を中心に
7 シンポジウム「母性を問う―〈母と娘〉という主題」