感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
傘緑
46
煙草の巻紙として煙滅したバフチンの数多くの原稿。ただこの本が灰と紫煙から救われたことは幸いだった。「民衆の笑いの文化は宇宙的な恐怖や終末論との戦いを反映して…陽気で物質的・肉体的な…永遠に改新される宇宙のイメージを創造する」歴史から常識から理性から、こちらの足下を大きく揺さぶり崩すような宇宙的な生の躍動と哄笑は、おそらく青年期のロシア革命の経験(メイエルホリドやトロツキーとか)に起因するものだろう。この革命的な生の躍動(笑い)の研究が筆禍に遭う時点で、スターリン時代の反動的で硬直した反革命的体制が知られる2017/02/27
フリウリ
10
この本を読みたいがためにまずラブレーを読む、という倒置を経て。中世からルネサンスに至る変革期において、中世からの民衆の笑いの文化が、ラブレーの作品の根底にあるという主張が、ラブレー的饒舌で次々と繰り出されることに、圧倒されました。死ぬことと生まれることは一つの事柄、生のために死は、死のために生はある。こうした考えは、笑いのなかで、陽気な気分においてこそ表明される、という思想はとても魅力的です。うんちも尿も「陽気な物質」だという主張は、いわゆる下ネタを子どもが無邪気に笑うことにつながると思いました。102024/01/17
あかふく
3
フランソワ・ラブレーの作品への、中世からルネッサンスへ移りゆく民衆文化の入りこみに関する研究であり、実際様々な伝承、当時の環境などの列挙をしつつラブレーの作品の特徴的な部分との比較を行うという部分が多くのページを占める。だが最後に繰り返し言われる「言語=世界観」という点から見れば、ラブレーの(言語芸術)作品を分析することはある世界観の探求であり、それがラブレー、そして笑いという多言語、つまり世界観の重なり合いのあるところに施されたとき、貧弱にされていた両面価値というあり方が再び照らされるのである。2014/04/30
星崎あきは
1
グロテスク論を振り返るために、読みました。2014/10/26