感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
くさてる
17
タイトル通り、統合失調症を患ったあと薬物治療で安定を得た青年による手記。とりとめのない妄想や行動が語られ続けて、読みやすいとはいいづらいのだけど、それがまたこの病の特徴でもあるのだと感じた。画家でもある著者のイラストや家族や当事者によるコメントも随所に差し込まれています。2020/09/05
イチイ
6
統合失調症を経験したアーティストの手記。高校時代に始まり、病いが徐々にその姿を明確にしていった20代の生活が中心に語られる。加えて、その精神状態の変化の現れとして示されるイラストや、ウェブサイトから収集された統合失調症当事者やその家族の書き込みの抜粋から構成されている。筆者はミュージシャンとしても活動しており、音楽への言及も多い。何度もピンク・フロイドを聴く場面があったため、読みながらBGMとして聴いてみたが、男の笑いや何かの生物の叫び声が入り交じる音楽は、あたかもそれ自体が幻聴体験のようであった。2018/07/19
恋
4
統合失調症の当事者による、知性と客観性、そして急性期における症状の主観的感覚までもを鋭く書き表した、インスピレーションに富んだ名著。今回友人にプレゼントをするために買ったが、この本で読んだ深い当事者としての共感が、私の回復に光をさし込ませていたのだと、改めて気づかされるに至った。描写はとても生々しく、当事者にとって言い表せない、症状と呼ばれるもの、その症状が「真実であること」を、時を遡り訴えかけ、治療に対しても光を投げかける。改めてこの本は素晴らしく光ってると思った。統合失調症の人にこそ読んでほしい。2017/07/10
Yukitita
2
長期間にわたって妄想と幻覚に苦しんだ末、やっと適切な治療にたどり着いた著者が、絵と文章で当時の心象を分かち合ってくれている。統合失調症は、百人に一人の割合で発症する身近な病気であるにもかかわらず、理解されていないとのこと。確かにそうだ。一般にもっと理解され、⦅統合失調症に津調べてみたが、自分にもその症状があるようです⦆と言って早めに診療を始められれば、周囲への疑心暗鬼が過度にならず、薬も少量で済む、と最後の方で理想の世界を提示する著者。私ももっと知っていこうと思った。2016/01/02
tekesuta
1
すべてに暗合があったりするという話はよく精神世界の本で見かけるんだが、統合失調症患者がものすごい恐怖に襲われるのに対し、精神世界のほうはなんだか幸せそうだ。この違いは一体なんだろうと思う。 2012/04/03