小説のストラテジー

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  • サイズ B6判/ページ数 249p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784791762910
  • NDC分類 901.3
  • Cコード C0090

内容説明

フィクションとは、作者と読者が互いの手の内をうかがいながら丁々発止とわたりあう、遊戯的闘争の場である。超一流の書き手にして読み手が、古今東西から選りすぐった実例にもとづき、その戦略・技法の全てを具体的かつ実践的に伝授する。

目次

快楽の装置―創作と享受における一般的な前提
フィクションの「運動」―読み手が反応するのは物語ではなく記述である
ジャック・ワージングの困惑―物語にはどのような役割があるのか
楽興の時―作者が全てをコントロールできるとは限らない
燭台なしの蝋燭―言葉は本当に通じるか/通じなければならないか
かくて詩人は追放される―小説は哲学上の真を語らない
誰も一人では語り得ない―複数の語り、複数の声
ディエーゲーシス/ミメーシス―声の様態に関するタクティカルな考察
単声による肖像―作例一。ユルスナール『ハドリアヌス帝の回想』
殺人者のファンシー・プローズ―作例二。ナボコフ『ロリータ』
国民作家の悲劇―作例三。笙野頼子『水晶内制度』
作品が全て、人間は無―結びに代えて

著者等紹介

佐藤亜紀[サトウアキ]
作家。1962年新潟県栃尾市生まれ。成城大学大学院修士課程(西洋美術史専攻)修了。1999年から2005年まで早稲田大学文学部文芸専修で講師を務める。1991年『バルタザールの遍歴』でデビュー。2003年『天使』で芸術選奨新人賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

マウリツィウス

18
佐藤亜紀の言語芸術論は契機を呈する。弔いのナボコフの姿を投影し啓示としてこのストラテジーを捧ぐ。間テクスト性とはギリシャ叙事詩時代より継承され古典啓蒙を経て現代に確立、その系譜を誤解する現代思想家達を逆否定、ポストモダニズム社会とは一重の価値観に統合すべきで古典再帰論はバルタザールの帰還を望み続ける。二十世紀ウィーンを支配した国家像とはこの戦略に連なり思考精緻回路は宇宙論を再構築していく。ラテン=ローマ古典基盤生存は続く、多様価値論は絶対的客観定義の剥奪誤謬に与えられることはけしてない。テクスト共時論。2013/05/21

hoiminsakura

8
難解だったので1章ずつ時間をかけて読んだが、後半から最後にかけては怒涛のように楽しく読んだ。理解できない箇所もあるので再読したい。特に笙野頼子とナボコフへの興味が湧いた。ロリータは読んでいたが、作者の背景を知ることで見えてくることもある。2022/08/14

マサキチ黒

8
佐藤亜紀氏の早稲田大学文学部での講義をほぼ纏めた一冊。佐藤さん信者なだけではついていけません。引用すれば「ほとんどカラヴァッジョ的な陰影と緊張」「この声に何も感じないとしたら、小説を読むのはそもそも無駄でしょう。(ハドリアス帝の回想について)」私の持つ佐藤さんの著書、読み直さなあかんな。2021/07/23

ぼのまり

8
著者が大学の講義で行なった内容について、覚書をまとめなおした本のようだ。大学の講義というと、お堅くて眠気を誘うようなものを想像してしまうが、それとは対極にあり興味深い内容である。小説の読み方について、ちょっと違う感覚を得ることができる1冊でした。2013/07/28

加藤

6
名著すぎる。もっとはやく読めばよかった。"受け手に対しても読み手に対しても、従って、まず要求されるのは表面に留まる強さです。作品の表面を理解することなしに意味や内容で即席に理解したようなふりをすることを拒否する強さです。"映画観てすぐにイシューを引き出そうとする感性の、救い難い凡庸さ。自戒。"読むに値する作品の中で機能する重要な要素であることによってのみ、マイノリティの特殊な問題は普遍的な問題になるのです。"2022/05/09

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