ふたつの世紀末 (新装版)

ふたつの世紀末 (新装版)

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  • サイズ B6判/ページ数 297p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784791756698
  • NDC分類 230.6
  • Cコード C1070

内容説明

パニックの美学。「終末」の原風景。畸形の庭園を逍遙し、厄災画や廃墟イメージの死臭に酔いしれ、眩暈を誘う速度とスペクタクルに我を忘れた18世紀末―。現代の我らの世紀末もまた眼差しの刺戟を求め、「驚異」の数々を世界の果てまで渉猟した、18世紀末の偏奇な感性の反復にすぎないのではないか。厖大な資料を駆使して描く全く斬新な世紀末論。

目次

1 あくびの奈落
2 ネロの風景
3 額縁が殺す
4 自然のかけらもない
5 シャラワジの庭
6 くねれ、セルペンティナート
7 桶のはなし
8 世界をクック
9 虫も殺さぬ顔をして
10 フラクチャー
11 パノラマニアック
12 コントラ・ポー

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

kasim

31
著者の本を初めて読んだ時の衝撃は大きかった。そのすごさは今もまるで色褪せていないし、密度の濃さにも毎度圧倒される。「動くこと」「変化」「新しい」を良しとする価値観は1750年代に生まれ、今日も私たちを脅かす。読メだってSNS。「科学」の仮面をかぶった娯楽は自分が世界を制御しているという幻想を生む。世紀末という設定だが現在も事情は変わらず、視覚偏重はむしろ進んでいる。ただ9.11やコロナで、人はみな安全圏にいるわけでなく、自身の危険も漠然とだが感じるようになっているかも。高山本続けて読む&再読したい。2021/07/08

10
ふたつの世紀末(18、20世紀末)を貫く感性について、エッセイ風に描いた一冊。本書では通奏低音としてバーグの崇高美学が常に参照される。倦怠突破のために刺激と驚愕を求める美学。距離を取って世界を対象化、表象化、劇場化して見るならば惨劇すらも娯楽と化す。他人の不幸は蜜の味、といやつか。あるいはそれに対して世界の「本質」を求めるまなざしについても章が割かれる。そして科学文明すらも「崇高」なものとして捉えるまなざしも。個人的にSF、ホラーといったジャンルが好きなのでその原点である崇高美学という観点からも楽しめた。2017/05/22

あかふく

1
18世紀末と20世紀末の状況が正に同じものであって、ゆえに18世紀末を語ることは今のわれわれについて語ることでもあるのだというテーマ。ピクチャレスク―崇高美学がメインであり、そこに生じる「視」の問題がわれわれのヴィジュアル文化のクリティカル・ポイントなのだという本。この頃はまだ出ていないが、そういう意味でB・M・スタフォード『グッド・ルッキング』に高山宏が目をつけたのは当然で、ただこの頃はあまりスタフォード礼讃ではなく、強く批判する部分もある。章題は「あくびの奈落」「ネロの風景」「額縁が殺す」など。2013/01/15

Akito Yoshiue

0
筆者のかっちりした構成の評論的文章も好きだが、本書のようなエッセイ色の強い文章の疾走感・爽快感は別格。面白かった。2014/06/13

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