内容説明
妊娠中絶や人工生殖、安楽死や脳死・臓器移植等の生命倫理と、自然の権利、世代間倫理、地球全体主義という環境倫理の問題を踏まえつつ、いのちを守る身体(内的環境)と自然や地球(外的環境)の統合的な持続を考える「生命圏の倫理学」を提唱する。
目次
序章 倫理学って何だろう
第1章 生まれることの倫理
第2章 生まれ方を操作することの倫理
第3章 死ぬことの倫理
第4章 新時代の「死」と「移植」の倫理
第5章 環境問題の経済と倫理
第6章 「自然の権利」という環境倫理思想
第7章 世代間倫理は「倫理」たりうるか
第8章 地球全体主義の可能性と困難性
終章 「生命圏」の倫理学へ
著者等紹介
徳永哲也[トクナガテツヤ]
1959年大阪府に生まれる。1983年東京大学文学部卒業。1996年大阪大学大学院文学研究科博士課程単位取得満期退学。現在、長野大学環境ツーリズム学部教授(専攻=哲学・倫理学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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やまやま
9
前半は人の生き死にに関係する倫理的な問題、後半は(地球)環境に関する経済と倫理という課題に分けられています。前半の論点としては、個体の誕生や死別に、人間の意思が医学・工学的に反映できる部分が増えると、それは意思に従ってよいことかどうかが判断し難くなるというジレンマが基本にあります。分からないことは無理しない、という安全に倒すルールはありえますが、千載一遇の機会を生かしたいと思う気持ちと裏腹になります。環境問題は、世代間倫理の確立を説くのですが、これはミニマルな生き方の魅力を普及するのが一番でしょうか。2022/07/23
牛タン
1
生命倫理、環境倫理の入門書。完全に素人で、このジャンルの本を読むのは初めてだったがだがすごくわかりやすかった。わかりやすすぎて本当にこんな単純な話なの?と思ってしまうほど。新書みたいな感じ。どこまでが学説の紹介で、どこからが著者の意見なのかがちょっとわかりづらかった2018/12/31
yuno
1
最近、個人的に、終末期医療の点から生命倫理、放射性廃棄物の点からの環境倫理と、この分野について考えることがあるので、ちょうどよさそうなタイトルのこの本を手に取ってみた。生まれることや死ぬことに関する生命倫理学と、自然や未来対する責任などに関するに環境倫理学について、メジャーな学説の紹介と著者の意見が述べられていて、著者の意見にはあまり賛同できないのだけど、学説の紹介の部分はわりとはっきり分かれていて、とても勉強になった。2018/02/01