目次
序章 やさしきみ母よ
第1章 父母と子と運命と
第2章 原子野の鐘
第3章 ほろびぬものを
第4章 白ばらの花より香りたつごとく
第5章 風浪に流されず
終章 新しき門出のまえに
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
しいたけ
111
母を原爆の一瞬で亡くし、被爆した父をその後6年足らずで亡くした兄妹。病床で父が書き記した『長崎の鐘』に呼応する本を兄が書いた。大きく膨張していく父の腹を、そっと洗ってやるときの息子の心情。妹と悲しみを分け合う日々。学校の身上書の父母欄の白。慈しんでくれた父母の愛を、自分を愛し人に感謝することで繋いだ兄妹の人生。兄が発する妹の名「カヤノ」の響きが胸を締めつける。原爆によって負けたとは思えない。人の柔らかさ暖かさは奪われなかったから。ただ、この悲劇が起きたことへのやりきれない怒りは、消すことができなかった。2018/08/12
おちゃめmama
1
父、永井隆著『この子を残して』を読み感銘を受け、残されたお子様が書かれた子供側の目線の本も読みたくなった。想像を絶する境遇を生きてきた人の強さと、周りの人の暖かさが心にしみた。現実にあった事だと思うと一言一言の重みがずしんとくる。2012/07/11