内容説明
小国ポルトガルは、大国の覇権争いの狭間で、しぶとく生き延びてきた。その古代から現在までの歴史を、社会・政治・経済・文化にわたって立体的に描きだす。
目次
第1章 民族、文化、植民地
第2章 十七世紀の反乱と独立
第3章 十八世紀―黄金時代とリスボン大地震
第4章 ブラジルの独立とポルトガル革命
第5章 ブルジョア君主制と共和主義
第6章 サラザールの独裁とアフリカ帝国
第7章 民主主義とヨーロッパ共同体
著者等紹介
バーミンガム,デビッド[バーミンガム,デビッド][Birmingham,David]
ケント大学教授。英国の元アフリカン・スタディ・アソシエーション会長。近著ではポルトガルの旧植民地アンゴラとモザンビークの民族運動について卓見を示している
高田有現[タカダユウゲン]
翻訳家。諸分野にわたる論文・資料の翻訳を数多く手がける
西川あゆみ[ニシカワアユミ]
翻訳家、コピーライター。早稲田大学教育学部社会科地理歴史専修卒業。洋画配給会社宣伝部を経て現在フリー。様々な映画の脚本、資料の翻訳を手がける
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
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NY
3
リスボン在住の友人の勧めで読む。お堅い歴史教科書と思いきや、主に経済史の視点からポルトガルの本質を浮き彫りにする良書。 富を持たない欧州の小国が試みる経済改革は常に一進一退でもどかしい。勇気ある改革者が出るたびに宗教裁判で抹殺される。強国に圧倒され、ブラジルには追い抜かれ、とても身の丈に合わないアフリカの植民地を強引に維持しながら、国を守ってきた苦闘の歴史。ポルトガルは英仏独など欧州の大国よりも、アフリカとの共通点が多いように思う。アフリカはピレネーから始まる、というのは気候風土だけではないのだろう。2018/07/22
穀雨
1
翻訳された歴史書なので読みやすさの点が気がかりだったが、いざ読み始めてみると訳者の腕によるのか思っていたよりも読みやすく、おおまかなポルトガルの歴史を知ることができた。2014/05/18
wang
0
ポルトガルの通史だが、16世紀までは概要のみ。詳しくなるのは1640年にスペインから独立してから。出来事の羅列で大局的な歴史観が得られなかった。知りたかった多くの疑問は解消されず、むしろ新たな疑問が生じた。なぜポルトガルは他地方と違いスペインと別の国になったのか。エンリケ航海王子の偉業も触りだけ、世界帝国のはずなのに植民地についてはブラジルと20世紀のアフリカ帝国についてだけ。イギリスに支配された歴史が長いようだが、どのような関係なのか。西欧にこれほど近いのに政治的にも経済的にも後進国であり続けたのか。2023/08/15