関係性のなかの非行少年―更生保護施設のエスノグラフィーから

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  • サイズ A5判/ページ数 243,/高さ 22cm
  • 商品コード 9784788509696
  • NDC分類 327.8
  • Cコード C1011

出版社内容情報

 少年の犯罪が増えているか、それはなぜか、という関心が高まっています。もちろん、その原因を探り、再発を防止することは大切ですが、この本は、非行少年の「問題」は、彼ら、彼女ら自身の性格や生い立ち、家族にあると、私たち一般人だけでなく専門家までもが考えるという、非行少年を見る私たちの「視点」に焦点をあわせて、更正保護施設でのフィールドワークをした記録です。そこでの少年たちや指導員たちのやりとりから見えてきた,少年たちを排除するのではない,彼らをも共に抱えていける社会への可能性とは?

 本書は、いわゆる「非行少年」が更生することを援助する施設で、私が三年あまりの期間にわたって行ったフィールドワークにもとづいて書かれている。更生の現場で行われている心理学的なはたらきかけ、あるいは教育活動の実際を、具体的に、リアリティをもって、伝えていきたいと思う。・・・中略・・・私はこの問題を、もう少し別の角度から考えてみたいのだ。つまり、非行少年が内面にもつ「問題」や「病理」は何なのか、どうしたら解決できるのかというように、少年個人がもつ「問題」の存在を前提にして考えるのではなく、「私たちは、非行問題を、どうして少年個人がもつ問題としてとらえてしまうのか」というように、その前提自体を問い直してみたい。そうすることによって、非行少年への私たちの理解にどのような新たな展望が開けるのかについても示したい。(「序章 非行少年へのまなざし」より)

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 【関連書籍】
 『 フィールドワーク 【増訂版】 』 佐藤郁哉著 (定価2310円 2006)
 『 子どもエスノグラフィー入門 』 柴山真琴著 (定価1995円 2006)
 『 ワードマップ質的心理学 』 無藤隆ほか編 (定価2310円 2004)

 【新 刊】
 『 質的心理学の方法 』 やまだようこ編 (定価2730円 2007.9月)

目次

序章 非行少年へのまなざし
第1章 「問題」を個人のなかに見る精神医学・心理学の視点
第2章 非行少年の更生の現場から考える方法を考える
第3章 更生保護施設でのソーシャルスキル・トレーニング
第4章 更生保護施設職員のアカウンタビリティ
第5章 研究者である「私」の物語り的構成
第6章 「問題」を抱えていける社会に向かう心理学の視点

著者等紹介

松嶋秀明[マツシマヒデアキ]
1972年、滋賀県に生まれる。1996年、大阪府立大学総合科学部卒業。2003年、名古屋大学教育発達科学研究科博士後期課程修了、博士号(教育学)取得。同年4月より滋賀県立大学人間文化学部講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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