出版社内容情報
巨人森鴎外。その人間と仕事の全体像を広い学際的な視野と方法によって照らし出した待望の講座。1巻では鴎外の偉大な個性の形成を,学生,作家,軍医,家庭人としての生と人間関係において探求する。2巻では初期三部作から晩年の史伝,翻訳,評論まで,鴎外文学の方法と表現,位相と構造を個々の作品に即して論じる。3巻では鴎外は何を見,何を読んだか,和漢洋にわたる素養の成立,社会思想,医学者としての関心と業績を明らかにする。
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【関連書籍】
『 投機としての文学 』 紅野謙介著 (定価3990円 2003)
『 創造された古典 』 ハルオ・シラネほか編 (定価4200円 1999)
『 現代文学理論 』 土田知則ほか著 (定価2520円 1996)
内容説明
「夕暮れ」「男色」などの斬新なキイワード、「赫く」「ふいと」などの多用される表現を手がかりに、さらには引用のドラマ、系譜学、語り、構造などの新鮮な方法意識で、鴎外のテクストをまったく新しく読みなおす。
目次
『舞姫』『雁』『高瀬舟』―「夕暮れ」を視点として
『うたかたの記』の構造
『文づかひ』―イイダの意地
『文づかひ』再考―イイダ姫、その詩と真実
「三人冗語」「雲中語」の鴎外―『合評』形式の意味をめぐって
鴎外訳『即興詩人』の系譜学
近代劇の誕生―鴎外と戯曲
引用のドラマとしての『青年』
表象としての男色―『ヰタ・セクスアリス』の“性”意識
「堕落」しない男たちの肖像―『ヰタ・セクスアリス』から『青年』・『雁』へ〔ほか〕