内容説明
インターネットに代表される「身体拡張原理としてのテクノロジー」の進展は、そこにいながらにしてすべてが可能であるかのように錯覚させ、私たちの身体感覚を希薄化させている。その一方、“失われた理想の身体像”へのあくなき欲望を昂進させつづけてもいる。この両義的状況にある現在をふまえて問うべきは、私たちは表象の領域で「多様な力学の結節点としての身体」をどのように夢見てきたのか、である。人造人間文学と優生学に密輸入される身体、映画=複製技術で差異化しつづける身体、“怒れる若者”映画/文学で翻弄される女性身体、『PLUTO』で破壊されるロボットの身体…。映画・文学・アニメ・マンガなどの領域で描かれる身体に焦点を当て、それに作動する多様なメカニズムを解読して、私たちがもつ生‐政治への欲望を明らかにする。
目次
第1章 モダニズム文学と「破砕される身体」―江戸川乱歩・葉山嘉樹・宮沢賢治
第2章 マッド・サイエンティストの子供たち―昭和初期の人造人間文学と優生学
第3章 瀧口修造の手―シュルレアリスムの「機械」のために
第4章 “差異”の身体=機械学―藤枝静男『空気頭』論
第5章 光の使者=成瀬巳喜男―『鶴八鶴次郎』論
第6章 日本の“怒れる若者”と女性身体をめぐる闘争
第7章 ロボット物語における記憶と死―『プルートゥ』試論
第8章 ピグマリオン神話の現在形―押井守『イノセンス INNOCENCE』の向こうに
著者等紹介
中山昭彦[ナカヤマアキヒコ]
1959年、山形県生まれ。北海道大学教員。専攻は日本近現代文学、日本近現代文化、日本映画
吉田司雄[ヨシダモリオ]
1957年、東京都生まれ。工学院大学教員。専攻は日本近代文学、文化研究(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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fantamys
肉ちゃん