内容説明
行政が公然とおこなった「出自による差別」事件の記録。2000年夏、茨城県竜ヶ崎市は3人の小学生に対して就学拒否処分を行った。その違法な処分に呼応するように、「住民」たちも幼い子どもたちに拳を振り上げた。「麻原彰晃の子」であるがゆえに起きた差別事件の発端から解決までを、子どもたちの支援者と弁護士が語るドキュメント。
目次
第1部 竜ヶ崎就学拒否事件の記録(栃木県大田原市;就学拒否;裁判;解決)
第2部 行政・住民・マスコミは何をしたか(『悪魔』の友達から小さな『悪魔』へ―就学拒否処分の取消を求めて;なぜ子どもたちを支援するのか?―支援の論理とその実践;ニュータウン・ファシズムの実験と失敗―竜ヶ崎「オウム」排斥運動)
第3部 資料(『オルタ』編集部と支援者のやりとり)(元オウム信者の居住をめぐる竜ヶ崎市の選択 披田信一郎さん・大宮知信さん;山際永三、手塚愛一郎、深見史から『オルタ』編集部への申し入れ;手塚愛一郎から『オルタ』編集部へリードと事実関係についてのメモ ほか)
著者等紹介
手塚愛一郎[テズカアイイチロウ]
1960年生。栃木県在住。NPO法人職員
松井武[マツイタケシ]
1956年生。東京都在住。弁護士(第2東京弁護士会)
山際永三[ヤマギワエイゾウ]
1932年生。東京都在住。映画監督
深見史[フカミフミ]
1953年生。栃木県在住。自由業
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感想・レビュー
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大熊真春(OKUMA Masaharu)
2
茨城県竜ケ崎市で起きた就学拒否問題を闘った弁護士と支援者による本。●行政自ら率先して法を犯してまで差別を行い、住民を反対運動へとあおる。その過程でのあれこれもひどいが、行政、住民、マスコミ(しかも「人権擁護」をうたうような連中までも)が何の反省もない。謝罪もない。●これは単に麻原から取り残された者たちだけの問題ではない。「差別してもいい人」「差別してはいけない人」の区別を社会が作ってしまったということなのだ。人権は例外となる人がいる。差別されるべき人がいるんだという差別を認めてしまったんだ、この社会は。2015/03/03
fut573
2
オウム真理教元教祖麻原彰晃の子供に対する弾圧の話。オウム事件からもう10年がたとうとする。犯罪者の子供に人権は無いのか?そろそろ冷静な目で判断できる時期かもしれない。2009/11/02
鈴木誠二
0
山際永三監督作品や「怪獣使いと少年」を好きな人は読んでおいて損はないと思います。2018/11/20