内容説明
「文化大革命」という未曽有の動乱のただなかでひそかに清新な感性を書きとめていた詩人たちがやがて地下文学雑誌『今天』に結集し、「文革」後の疾風のような詩的想像力の解放の礎を築いた。言論統制の闇を切り裂いて登場したこの文学雑誌が中国現代詩に与えた衝撃は計り知れない。彼らを中心に80年代中頃まで展開された同時代中国の詩の動きをチャイナ・ミストという。既成の論壇から投げつけられた「朦朧としてわけがわからない」という嘲弄罵倒が今では逆に彼らの桂冠となって輝いている。本書はその朦朧詩の中心的存在であった北島、芒克ら『今天』派詩人11人のアンソロジーである。
目次
1 北島詩篇
2 舒〓詩篇
3 顧城詩篇
4 芒克詩篇
5 楊〓詩篇
6 江河詩篇
7 田暁青詩篇
8 食指詩篇
9 方含詩篇
10 厳力詩篇
11 多多詩篇
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
燃えつきた棒
9
今年もまた6月4日が巡ってきた。あれだけの血が流されたにもかかわらず、相変わらず中国人民の自由と民主は抑圧されたままだ。人々はあの事件を忘れたのだろうか? 『しかし 罪悪はついには清算されるだろう その行為はついには公開されるだろう 無辜の死を免れえずに死んだ人の 流した血は固まらないだろう』(江河「記念碑」) 星々は宇宙の彼方へと砕け散ったかに見える。 だが、いつの日か梁山泊の風が大陸を吹き荒れるだろう。歴史は変わると思うほどには変わらないが、変わらないと思ったものが案外変わるものだから。2015/06/03