感想・レビュー
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ロビン
19
ラングストン・ヒューズと共に1920年代のハーレム・ルネサンスを代表する詩人カウンティ・カレンの詩集。ニューヨークに生まれてメソディスト派の牧師館で育てられたこの詩人はジョン・キーツを慕い、定型詩の伝統を守ったリリックな詩風を持つが、黒人としての苦悶や、キリスト教信仰に徹しきれず、かといってアフリカの異教の神々にも距離を感ずるというその葛藤が、時にハイネのごとき皮肉な機知の火花となって詩に表れている。黒人や在日韓国人の方々がもつアイデンティティや帰属意識の問題の難しさを改めて感じつつ、端正な詩に打たれた。2020/09/10