内容説明
“悪女”とは誰であったか?と問うことによりその時代・地域で共有された制度的なモラル―目には見えない圧倒的な力を持って内面にすり込まれていく“女らしさ”、女性への暴力を透視し、迫害を顧みず自分の生き方を貫いた勇気ある先駆者として“悪女”を捉え直す。
目次
第1部 “悪女”という表象―その成立と変遷(王朝文学の“悪女”―本院侍従を中心に;中世の「悪」の観念と“悪女”;「悪婆」の魅力―歌舞伎の“悪女” ほか)
第2部 疎外者の哀しみ―文学の中の“悪女”たち(寛一が宮をなじる理由―尾崎紅葉『金色夜叉』の問題圏;山本禾太郎「窓」と打出二婦人殺し事件―探偵小説は“悪女”をどのように描いたのか;悪と求道―遠藤秀作『深い河』)
第3部 陽光の翳り―ヨーロッパの魔女・悪女(西欧における“悪女”の作られかた;D.H.ロレンスが描き出す「月の女神」としての「魔女」)
著者等紹介
鈴木紀子[スズキノリコ]
1940年生まれ。名古屋大学大学院修士課程修了。京都橘大学教授。平安朝文学専攻
林久美子[ハヤシクミコ]
1958年生まれ。大阪市立大学大学院後期博士課程修了。博士(文学)。京都橘大学教授。日本近世文学専攻
野村幸一郎[ノムラコウイチロウ]
1964年生まれ。立命館大学大学院博士後期課程修了。博士(文学)。京都橘大学助教授。日本近代文学専攻
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