内容説明
戦争末期に創設された新鋭の兵種である日本陸軍『機甲』部隊。戦車を中心に、その装甲機動力を発揮し、敵陣を突破、後方の戦略拠点を占領する―欧州戦に学び、立ち後れた陸軍兵器技術の発展に賭けた陸軍中将原乙未生の生涯。国産第一号戦車の開発に従事し、陸軍近代化の道をめざした苦難と研鑽の日々を描く。
目次
鉄牛の試走
技術士官候補生
国産戦車の鼓動
試行錯誤の日々
第一号戦車の発進
無限軌道のメッセージ
「海外留学ヲ命ズ」
軍縮の嵐の中から
若き大尉の船出
八九式戦車の初陣〔ほか〕
著者等紹介
土門周平[ドモンシュウヘイ]
作家。元防衛研修所戦史室編纂官。日本軍事史学会副会長。クラウゼヴィッツ学会顧問。防衛学会・日本文芸家協会各会員。大正9年(1920年)、東京都に生まれる。陸軍士官学校(第55期)卒業後、戦車連隊中隊長として終戦を迎え、戦後は陸上自衛隊、防衛研修所に勤務する。『第三次世界大戦』では文芸春秋読者賞を受賞、現在に至る
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感想・レビュー
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イプシロン
29
帝国陸軍の戦車のこと知ってる? と聞かれて、89式中戦車(イ号)、95式軽戦車(ハ号)、そして97式中戦車(チハ車)だろと答えられるなら、まずまずの日本戦車通といっていいだろう。本著の主人公・原乙未生(とみお)はそれら3両を設計した人である。したがって本著は「開発物語」と題されているが、その実は原乙未生伝である。言いかえるなら、真にあるべきエリートとはどんな人物像かを物語っていると言えよう。近代的な国家社会を作るためにはどうしてもエリートが必要である。あの戦争における日本の敗因はそこにあるのだということを2021/01/02
涼月
2
原氏の経歴を辿りながら、戦車を中心とした陸軍兵器や陸軍について書かれた書。 知らなかった事も多く、読み物としては楽しめたが、「開発物語」としては物足りない感もあった。2018/11/10