内容説明
思わず微苦笑、帝国海軍の神秘・素っ裸の人間世界。海中の奥ふかくで繰りひろげられる底抜けのユーモアとペーソス。艦も人も型破り、一蓮托生の身であれば地位もなく、年齢もなく、艦長も水兵もただの人。確実機敏を鉄則に、気どらず気ばらず相和して、乗員はみな明るい一家族。感動のドンガメ生活アラカルト。
目次
一家族のごとく
伊号と呂号
ドンガメ暮らし
艤装員
潜航いそげ!
旗艦
娑婆との別れ
巡潜
前進微速
見張り当直〔ほか〕
著者等紹介
槇幸[マキコウ]
大正8年、茨城県生まれ。昭和11年6月、横須賀海兵団に入団。同11月、軍艦「厳島」乗り組み。12年、上海、揚子江、青島攻撃戦および沿岸警備に従事。13年、水雷学校練習生。14年、二号掃海艇乗り組み、揚子江作戦、南京、漢口、南昌攻撃戦に参加。15年、潜水学校練習生、水雷学校高等科練習生をへて、伊22潜および伊24潜艤装員。16年、伊25潜に乗り組み、ハワイ、東南および南方海上作戦、米本土砲爆襲作戦に参加。17年、潜水学校教官。18年、対潜学校特修科練習生。19年、第六艦隊司令部付。呉にて終戦を迎える。海軍兵曹長
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感想・レビュー
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六点
80
昭和後期の出版界に一大ブームを巻き起こした光人社『○○よもやま物語』の一冊。帝国海軍と言えば、六点に取っては、怖い体育教師が常時携行していた「海軍精神注入棒」舞い踊る世界で、少し苦手であった。「フネが小さくなる程体罰がない」と言う海軍の法則に則り、潜水艦も体罰をやる暇とスペースが無いんだな、というリアリティを感じ取った。イ25はアメリカ本土攻撃に成功した武勲艦であるが、戦没し、総員戦死している。ウィキペディアを見れば米軍も恐ろしいくらい潜水艦を失っている。そう思うと、おもろうてやがてダメージである。2022/03/08
yasu_z2
5
リアルな潜水艦の日常が書いてあり興味深かった。2024/04/01
えぬ氏もわるよのぉ
4
昔読んだ本の再読。軍艦や軍用機は好きだが軍隊、特に鉄拳制裁が当たり前の旧軍はあまり好きでない。心身ともに虚弱な自分など一日とてもたないだろう。海軍の場合、その規律はフネが小さくなるほど緩くなったそうで、潜水艦ともなると鉄拳制裁(甲板整列)などは無く、乗組員全員に家族のような連帯感があったそうな。しかしその任務は過酷。窓もない狭い艦内に大勢が何か月も閉じ込められ、戦闘や事故など死と隣り合わせ。そんな潜水艦乗組員のエピソードのひとつひとつが実に興味深かった。2020/10/30
subuta
2
潜水艦乗員には水上艦のような階級による隔てがないそうで、体罰やシゴキといった話は出てこない。真水の制限は厳しいものの、食料に困ることもない。しかし数十日間、風呂に入らず歯も磨かず、日に当たることすらほとんど無い生活の過酷さも窺えた。2016/10/14
えふのらん
2
20世紀初の米本土爆撃砲撃を果たした伊25のよもやま物語。こっそり酒を酌み交わしたりデコピンをしあってじゃれあう話など微笑ましい話が満載で、帝国海軍内で唯一甲板整列のない職種と言われる所以や雰囲気がわかる。「スマートな海軍像」はどこへやら、むしろドン亀の名に相応しい生活が心にしみて面白かった。2013/08/08