内容説明
撃墜王は畳の上で死ねない―この悲劇のジンクスを、かなしくも実証するかのように、非業の死を遂げた第二次大戦の撃墜王が、紅顔、純情にしてけがれを知らぬ“隼戦闘隊のサムライ”たちの幾多の青春群像を描く。『人生是勝負』―勝つか負けるか、生きるか死ぬか、真剣勝負に勝利をおさめたエースの空戦記。
目次
第1章 遙かなる雲の墓標
第2章 大空を駆けるとき
第3章 君死に給うこと勿れ
第4章 散りゆく花の末に
第5章 火網の中に身を晒すとき
第6章 あゝ還り来ぬ強者たちよ
著者等紹介
黒江保彦[クロエヤスヒコ]
大正7年、鹿児島県に生まれる。昭和12年6月、陸軍士官学校を卒業。13年11月、飛行第59戦隊付を命じられ、漢口飛行場に赴く。16年2月、陸士教官として豊岡に着任、大尉に進級。同年9月、独立飛行第47中隊に転じ、開戦とともに鍾馗を駆って南方戦線に出撃。17年4月、加藤隼戦隊長率いる飛行第64戦隊第3中隊長に転じ、ビルマ航空戦に参加。19年1月、航空審査部のテスト・パイロットとして福生飛行場に着任。戦後、航空自衛隊に勤務(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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スー
21
75加藤戦隊長の64戦隊の中隊長から戦隊長代理になった黒江保彦は97戦から2式戦鍾馗に乗り換えそして64戦隊に配属され1式戦隼で活躍した。若いのに何人もの部下を持ち指揮を間違えればたちまち死なせるという重圧にもがきながら戦う苦悩がよく伝わってきました。守れず火を噴き落ちていく爆撃機に知り合いや同期が搭乗していて彼等が最後まで翼を振り感謝を伝える姿を泣きながら見守る黒江に涙した、常に死と隣り合わせで知り合いを失う中で正気を保ち任務をこなし続けるなんて自分には出来ないと思う本当に凄かった。素晴らしい戦記でした2021/06/12
連雀
3
■その武名と容貌から武骨一辺倒な武辺を想像するのですが、その実、詩情豊かで巧みな文筆家であった事に驚かされます。さすが第64戦隊歌にして映画『加藤隼戦闘隊』の主題歌の作詞家でもある黒江保彦ですね!単なる戦記物の枠を超えた戦争文学です!!■これは指揮官として部下を束ねた方の手記には多いのですが、本書でも自身の武功よりも部下の武功を誇り、その安否を心配する姿が語られています。そして悲壮なまでに劣勢を強いられた戦いであっても泣き言は述べられない。人柄が偲ばれます。2021/01/30
tora
1
エンジンの音轟々と隼は行く雲の果て。一式戦闘機を駆ってマレー・ビルマの空を戦った陸軍航空隊「魔のクロエ」の空戦記。様々なエピソードから、著者が敵を恐れぬ豪胆さと仲間を思いやる繊細さを併せ持つ人物だとよくわかる。2010/01/10
チャゲシン
0
陸軍パイロットのトップエース、加藤隊長亡き後、戦隊長代理として獅子奮迅の働きをした空の男の空戦記録。戦記文学としても最高に面白い。けど、よく読むと、やはりp40は強敵だったのですなあ、、、そして、面白いました。これじゃあ負けるわと2017/08/08