内容説明
軍艦「名取」は、陸岸から600キロ離れた太平洋の洋上で、敵潜水艦の魚雷を受けて撃沈された。乗員600名中の200名たらずが生き残り、カッター(大型ボート、定員45名)が3隻残った。指揮官・小林英一大尉は、自分たちの力で陸岸まで漕いでゆこうと決断した。全員が反対したが、小林大尉は決心を変えなかった。小林大尉は、やり直しのきかない人間生存の極限状態において、すばらしいリーダーシップを発揮した。日本海軍はもとより列国海軍においても、10日以上も飲まず食わずで漕ぎつづけることは、それまでの海軍常識では不可能だった。この不可能を可能にした名取短艇隊生還の周辺を描いた異色の物語。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Ayano
2
「続」から読んでしまった。 名取に対して自体詳しくないので、史実よりも著者の松永さん良いこと言うなーと思いながら読んだ。 「極限状態を乗り切る統率=リーダーシップ+根性ある集団+相互信頼感」…パワーバランスの中では、相互信頼感が1番重要で関係性によっては厄介よね、と思いながら読んだ。2019/08/28
Kazuyuki Koishikawa
2
昭和晩期の雰囲気は確かにそんな感じだったな。2013/08/29
ペンポン
0
自衛隊の艦艇で世界一周をした時の話がメインであり、そこに大学の同級生の話やエジプトからの留学生の話が出てくる。留学生が語った敗戦国と植民地の違いは確かに彼の言うとおりである。学生時代、彼とはそんな話はしなかった。その様な思いで日本を見ていた事も驚きであった。エリートとしてリーダーのあるべき姿を江田島の兵学校で叩き込まれた話は、リーダー育成の面で示唆に富む。また、著者の経験がリスク管理に繋がるとの話も面白い。2018/07/02
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- ハプスブルク家の光芒 ちくま文庫