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認知症の正しい理解と包括的医療・ケアのポイント―脳活性化リハビリテーションで進行を防ごう (第3版)

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  • サイズ B5判/ページ数 384p/高さ 26cm
  • 商品コード 9784763960276
  • NDC分類 493.75
  • Cコード C3047

出版社内容情報

認知症の病態や症状をよく理解し、高齢者の抱える心の問題を共有し、地域包括ケアの時代に即した多職種による包括的医療・リハ・ケアを提供するための具体的方法を示しています。
認知症に関わり、さらに理解を深めようというすべての医療・ケアスタッフ必読の書、第2版刊行時からの進歩を盛り込んだ改訂版です。

専門知識をわかりやすく記述し、医師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護師、保健師、ケアマネジャー、ソーシャルワーカー、ケアワーカーなど、認知症に関心をもつすべての医療・ケアスタッフの方々のニーズに応じて読んでいただけるよう、第1部では「認知症の概要と基礎知識」について、第2部では「認知症の症状とそのケアのポイント」について、第3部では「脳活性化リハビリテーションの理論と実践のポイント」について、第4部では「評価、診断、関連疾患、治療、食生活など」について、それぞれまとめています。
原因疾患に応じたケアの重要性に照らし、特に、第1部と第4部では認知症の病態・診断・薬物療法に関する記述を充実させ、第2部では個々の症状とそのケアをペアにして解説し、第3部の脳活性化リハについても豊富な実践を紹介しています。

医学的な知識からリハ、ケア、食生活まで包括的な取り組みをすべて紹介していますので、この一冊で認知症の全体像を捉えることができます。
また、実践の根拠となる神経科学の考え方も詳しく解説するなど、各項目を基礎的な内容とさらに一歩進んだ内容に分けて記述しており、読者の興味に応じてスキルアップが図れるようになっています。

このたびの改訂版では、第1部の概論に米国精神医学会の新しい診断基準であるDSM-5を反映させ、第2部のケアにユマニチュードを含む新しいケアを取り込んでケア技術の向上を図り、第3部の脳活性化リハビリテーションではこれまでの研究成果を盛り込んでさらなる磨きをかけ、第4部の診断・治療では、原因診断に即したマニュアル医療ではなく、個々人の症状に即した認知症医療の重要性に鑑み、加筆・修正を行っています。

多職種による包括的医療・リハ・ケアという本書の内容は、2016年度の診療報酬改定で新設された「認知症ケア加算」にも合致するものとなっており、認知症の入院患者への適切な対応を身につけることができる内容となっています。

はじめに
 改訂によせて
 第3版によせて

第1部 認知症の基礎知識
 1.認知症とは
  1-1 「認知症とは?」の問いに答えよう
  1-2 認知症の本質は病識低下
  1-3 認知症の診断基準
  1-4 認知症の疫学
  1-5 認知症の本態
  Step Up ! 脳の階層性と機能局在
 2.認知症の原因疾患
  2-1 認知症の原因疾患
  2-2 認知症病型の頻度
  2-3 病型の重複や合併症
  Step Up ! 認知症と脳老化
 3.アルツハイマー病とアルツハイマー型認知症
  3-1 用語
  3-2 概念と特徴
  Step Up ! アルツハイマー病の病態と脳病理
 4.脳血管性認知症とは
  4-1 概念と診断
  4-2 臨床的特徴
  Step Up ! 脳血管性認知症の背景
 5.軽度認知障害(MCI)の臨床
  5-1 軽度認知障害(MCI)とは
  5-2 MCIの臨床所見の特徴
  5-3 MCIの診断
  5-4 MCIの治療と今後の展望
  Step Up ! 軽度認知障害(MCI)の脳病理

第2部 認知症の症状と能力を生かすケア
 1.総論:認知症の症状とパーソンセンタードケア
  1-1 認知症状と行動・心理症状
  1-2 認知症ケアの基本:パーソンセンタードケア
  Step Up ! 認知症ケアマッピング
  Step Up ! ユマニチュード
 2.総論:アルツハイマー型認知症の症状と経過
  2-1 アルツハイマー型認知症の病期
  Step Up ! 行動観察による進行度評価:FAST
 3.認知症状:記憶障害
  3-1 エピソード記憶の障害
  3-2 作動記憶(ワーキングメモリー)の障害
  3-3 保たれる手続き記憶
  Let’s try ! 記憶障害のケア
  Step Up ! 私は誰になっていくの?
 4.認知症状:見当識障害
  Let’s try ! 見当識障害による不安へのケア?行動・心理症状の緩和の基本?
  Step Up ! バリデーション・セラピー
 5.認知症状:思考・判断・遂行(実行)機能の障害
  Step Up ! 鏡現象
  Step Up ! 人形現象
  Let’s try ! 思考・判断・遂行(実行)機能障害への対応:日常生活の援助とケア
 6.行動・心理症状:幻覚・妄想
  6-1 もの盗られ妄想
  6-2 嫉妬妄想
  6-3 幻視・誤認・妄想
  6-4 妄想と作話
  Let’s try ! 幻覚・妄想への対応
  Step Up ! 行動・心理症状の評価尺度:DBDスケールとNPI
 7.行動・心理症状:徘徊
  Let’s try ! 徘徊のケア
 8.その他の行動・心理症状とケア
  8-1 不潔行為とケアのポイント
  8-2 攻撃的言動への対応
  8-3 性的言動への対応
  Let’s try ! 攻撃的行動や徘徊のケアの基本的姿勢?ユマニチュードの実践?
 9.脳血管性認知症の症状と経過
  9-1 脳血管性認知症の症状の特徴?どのような症状の場合、脳血管性認知症を疑うか?
  9-2 脳血管性認知症の経過
  Let’s try ! 脳血管性認知症のケアの原則
 10.施設における援助とケア
  10-1 できることに照準を当て、アセスメントする
  10-2 ケアプランに基づいてサービスを実施する
  10-3 定期的な内部研修や会議の実施、外部研修へのスタッフ派遣
  10-4 「気づき」のあるスタッフの育成
  Step Up ! 認知症の人のためのケアマネジメントセンター方式
  Step Up ! 子育てのコツはケアのコツ
 11.介護者教育で認知症の行動・心理症状(BPSD)を予防
 12.介護者への支援
  12-1 「頑張らない介護」??介護を独りで背負わない
  12-2 「ほどほどに燃える介護」??ゆとりをもつことの意味
  12-3 「介護者が、自分はよくやったと満足できる介護」??介護者のQOLや健康も大切に
  12-4 介護サービスを利用することに罪悪感や偏見をもたない
  Step Up ! 成年後見制度と日常生活自立支援事業
  Step Up ! 認知症初期集中支援チーム
 13.認知症の終末期とターミナルケア
  13-1 口から食べ続ける工夫
  13-2 胃ろう
  13-3 事前指示書

第3部 脳活性化リハビリテーション
 1.総論:脳活性化で認知症が改善するか?
  1-1 アルツハイマー型認知症の根本的治療が夢ではない時代に
  1-2 回復力:脳の可塑性
  1-3 廃用と病変と可塑性(回復力)のバランス
  Step Up ! 廃用は認知症の原因となるか?
 2.総論:脳活性化リハビリテーション
  2-1 脳活性化とは
  2-2 脳活性化リハビリテーションの5原則
  Step Up ! あきらめないで! 脳活性化リハ
 3.総論:快一徹! 意欲の源〈原則1〉
  3-1 快の指標と効用
 4.総論:ほめ合い・認め合い〈原則2〉
  Step Up ! 報酬とドパミン
 5.総論:コミュニケーション〈原則3〉
  5-1 家族や介護者が高感度に受信する:気づき
  5-2 非言語の力
  5-3 コミュニケーションに役立つツール
  5-4 集団の力
  Step Up ! 認知症の言語障害
 6.総論:役割・日課〈原則4〉
 7.総論:失敗を防ぐ支援〈原則5〉
 8.総論:能力を引き出すコツ
  8-1 行動強化
  8-2 具体例から学ぶ
 9.総論:笑顔のある生活
  9-1 情動は顔に表れる
  9-2 笑顔の効用
  9-3 脳は鏡
  9-4 最後まで残る微笑む能力
  Step Up ! 認知症の人のQOL
 10.各論:回想法と作業回想法
  10-1 回想法
  10-2 作業回想法
  Step Up ! 自治体での地域回想法の取り組み
 11.各論:現実見当識訓練
 12.各論:ゲーム
  Step Up ! ゲーム実施例
 13.各論:音読や計算などの学習
 14.各論:アートセラピー
  Step Up ! 認知症の音楽療法:音楽療法士の専門性
 15.各論:趣味活動は認知症を防ぐか?
 16.各論:身体活動による認知症の発症・進行予防
  16-1 発症予防
  16-2 進行予防
 17.各論:脳活性化リハビリテーションの実際
  17-1 情報収集
  17-2 準備
  17-3 実践
  17-4 介入効果の検証からわかった直接効果と間接効果
 18.各論:介護保険の認知症リハビリテーション
  18-1 生活機能向上を目指したリハビリテーション
  18-2 認知症短期集中リハビリテーション実施加算
 19.各論:認知症の人が脳卒中を合併した場合や骨折した場合のリハビリテーションの諸問題
  19-1 回復期病棟でのリハビリテーションのポイント
  19-2 維持期でのリハビリテーション

第4部 認知症の評価・診断と治療
 1.認知症の評価尺度
  1-1 認知尺度
  1-2 行動観察尺度:CDR、FAST、DASC
  Step Up ! 介入効果の評価
 2.認知症の検出と鑑別診断手順
  2-1 認知症の気づき
  2-2 記憶を含めた認知障害の有無
  2-3 うつ病やせん妄の除外
  2-4 認知症の鑑別診断
  2-5 鑑別診断の実際
 3.アルツハイマー型認知症の診断
  3-1 アルツハイマー型認知症の診断基準
  3-2 アルツハイマー型認知症の診断根拠
  3-3 アルツハイマー型認知症と脳血管性認知症との関係
  Step Up ! アルツハイマー型認知症の告知
 4.アルツハイマー型認知症の補助診断
  4-1 画像診断
  4-2 脳脊髄液検査
  4-3 脳波検査
  4-4 血液検査
  Step Up ! アルツハイマー型認知症の遺伝子診断
 5.脳血管性認知症の病型と診断
  5-1 脳血管性認知症の診断基準
  5-2 脳血管性認知症とアルツハイマー型認知症の鑑別
  5-3 脳血管性認知症の画像診断
  5-4 脳血管性認知症をきたしやすい脳血管障害
 6.レビー小体型認知症
  6-1 レビー小体型認知症の概要と病態
  6-2 レビー小体型認知症の症状
  6-3 レビー小体型認知症の検査と診断
  6-4 レビー小体型認知症の治療とケア
 7.他の変性型認知症
  7-1 前頭側頭型認知症
  7-2 行動障害型前頭側頭型認知症(前頭型ピック病)
  7-3 意味性認知症(側頭型ピック病)
  7-4 神経原線維変化優位型老年期認知症
  7-5 進行性核上性麻痺
  7-6 嗜銀顆粒性認知症
 8.認知症様症状を示す様々な疾患
  8-1 脳内病変
  8-2 内科系疾患
  Step Up ! treatable dementiaは認知症?
 9.認知症とうつとアパシー(自発性低下)
  9-1 認知症に見られるうつ症状
  9-2 アルツハイマー型認知症とうつ病の鑑別
  9-3 認知症のうつ尺度
  Step Up ! うつ症状への対応とセロトニン
 10.認知症とせん妄
  10-1 せん妄とは
  10-2 アルツハイマー型認知症のせん妄
  10-3 脳血管性認知症のせん妄
  10-4 脳内病変
  10-5 薬剤誘発性せん妄
  Step Up ! せん妄への対応
 11.行動・心理症状の薬物療法
  11-1 行動・心理症状(周辺症状)を抑制する抗精神病薬の使い方
  11-2 抑肝散
  11-3 認知症の行動・心理症状の背景となる不安と混乱への薬剤
  Step Up ! ドパミンと拮抗する抗精神病薬
 12.認知機能を高める薬物療法
  12-1 アセチルコリンエステラーゼ阻害剤
  12-2 神経細胞保護剤
  12-3 サプリメント
  12-4 脳血管性認知症に有効な薬剤
  Step Up ! 開発中のアルツハイマー型認知症根治薬剤
 13.認知症リスクを低減するライフスタイル
  13-1 脳血管性認知症を防ぐ食事
  13-2 アルツハイマー型認知症を防ぐ食事
  13-3 その他のライフスタイル

 まとめ
 謝辞
 索引

〈囲み記事〉
ナン・スタディー(Nun Study)??驚きの結果
アインシュタインの脳にも老化が
アルツハイマーはどんな人?
びまん性老人斑物語
認知症研究の歴史
待つケア=自立支援のケア?デンマークの尊厳を守るケア?
記憶の達人
両側海馬を切除された症例H.M.
声かけは前向き・肯定で
施設での入浴拒否理由を尋ねてみると
徘徊しているときにはお菓子がいい?
「食事の用意をしないと、嫁に怒られる!」
「俺の手に触るな!」
気づき:不安定な精神状態に隠されているものは??あるグループホームの事例?
ぐんま認知症アカデミー
ケアのコツ:笑い飛ばし(笑いヨガから)
診療報酬「認知症ケア加算」
Changing Brain?日々進化する脳?
人の役に立つ日課づくり
テレビ回想法・パソコン回想法
高齢者向けのゲーム
活動の成果を社会参加につなげる
ダイバージョナルセラピー
「お大事に」??余計な一言:主治医のつぶやき
平行線歩行の勧め
定型抗精神病薬の少量投与

山口晴保[ヤマグチハルヤス]
著・文・その他

佐土根朗[サトネアキラ]
著・文・その他

松沼記代[マツヌマキヨ]
著・文・その他

山上徹也[ヤマガミテツヤ]
著・文・その他

目次

第1部 認知症の基礎知識(認知症とは;認知症の原因疾患 ほか)
第2部 認知症の症状と能力を生かすケア(総論:認知症の症状とパーソンセンタードケア;総論:アルツハイマー型認知症の症状と経過 ほか)
第3部 脳活性化リハビリテーション(総論:脳活性化で認知症が改善するか?;総論:脳活性化リハビリテーション ほか)
第4部 認知症の評価・診断と治療(認知症の評価尺度;認知症の検出と鑑別診断手順 ほか)

著者等紹介

山口晴保[ヤマグチハルヤス]
認知症介護研究・研修東京センター・センター長/医師。1976年に群馬大学医学部を卒業後、群馬大学大学院博士課程修了(医学博士)。2016年9月まで群馬大学大学院保健学研究科教授を務めた。専門は認知症の医療(日本認知症学会専門医)やリハビリテーション医学(日本リハビリテーション医学会専門医)。脳βアミロイド沈着機序をテーマに30年にわたって病理研究を続けてきたが、その後、臨床研究に転向し、認知症の実践医療、認知症の脳活性化リハビリテーション、認知症予防などにも取り組んでいる

佐土根朗[サトネアキラ]
医療法人北斗北斗病院、十勝リハビリテーションセンター・副院長/医師。1985年に札幌医科大学医学部を卒業後、中村記念病院脳神経外科へ就職(1985年から1992年)。1993年以降、現在の職場で勤務。脳神経外科という臓器専門性を縦糸に、回復期リハビリテーションおよび在宅医療という管理型医療を横軸に、十勝の地域医療に従事している

松沼記代[マツヌマキヨ]
高崎健康福祉大学健康福祉学部社会福祉学科・教授/社会福祉士。2005年に群馬大学大学院医学系研究科保健学専攻博士(前期)課程修了(保健学修士)。2011年に日本社会事業大学大学院社会福祉学博士(後期)課程修了(社会福祉学博士)。現職以前に通所介護、グループホームにて勤務。専門は認知症ケア、人材育成、福祉レクリエーション

山上徹也[ヤマガミテツヤ]
群馬大学大学院保健学研究科リハビリテーション学講座・准教授/理学療法士。2001年に群馬大学医学部保健学科理学療法学専攻を卒業後、群馬大学大学院医学系研究科保健学専攻博士課程修了(保健学博士)。脳血管障害、骨関節疾患などの理学療法を専門とする一方で、認知症の発症・進行予防のための脳活性化リハビリテーションを実践・研究している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。