内容説明
アラン・ザカリー・マンジェルはソルボンヌ大学の哲学教授。誰からも尊敬される教養人の彼だが、ある日を境に人生が一変。妻から離婚を言い渡され、家財一式を失い、学生たちからも小バカにされ…。そんな彼の目の前にエリザベスという名の若く美しい女学生が現れる。彼女は『新約聖書』を根拠に、2人は頽廃したこの世に再び洗礼者ヨハネを生み出す宿命なのだという呆れた妄想を語り、アランをさらに悩ませる…。やがて聖ヨセフの生まれ変わりだというヤクの売人のアラブ人と聖マリアを称するコロンビア・マフィアの愛娘が加わり、フランスと南米を股にかけた聖俗混濁の大冒険が繰り広げられる…。聖ホドロフスキーと聖メビウスによる福音書!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
りー
18
偶然と奇跡、信仰と狂気はまさしく紙一重で、本書がどちらに属しているのかは最後の最後まで確かにならずに進む。主人公はもとより物語さえもがタイトル通りにスキゾ。読み方によって哲学者のようにもB級エンタメの様にも読める大作。これは面白い。2017/04/05
allite510@Lamb & Wool
11
スキゾと銘打つだけあって、分裂症的にブッ飛んだ展開が楽しい。南米の麻薬王の娘が聖母マリアの再来として受胎し、その胎内の子と一体化して両性具有の神の子となるとか相当に無茶苦茶だが、信仰と狂気と俗なモノや下らないギャグがぐちゃぐちゃにミックスされたごった煮感が気持ちいい。麻薬カルテルのアジトでの「最後の晩餐」とか最高だし、メキシコでのホドロフスキーの師匠をモデルにした女祈祷師のシーンも興味深い。女の子たちもエロくて魅力的。圧倒的な神秘体験をしてもラスト落ち着くのはそこなのか、と言うところはあるが、傑作。2018/04/07
ovonkovon
5
生臭くも俗っぽい現代版キリスト生誕ドタバタ劇。現代における救いはコメディにしかならないのかも。信じるものは救われるというけど、口先や努力ではなく、一片の曇りもなく信じきるものしか救われない。でも救いってなんだ?生きることの苦しみから解放されること?その源であるエゴを解消すること?けどエゴのない自分なんて「自分」なのか?救いを必要とするのは「自分」なのに、自分が「自分」のままでは救われることはないというジレンマ。そんな救いは嫌だなあと思うあたり、救いがたい人間なんだろうな。2015/05/09
ユーコ
3
性と聖!糞まみれの救世主降誕活劇!面白かった。2017/05/20
ykoji
2
「リアリティのダンス」を補助線にして読むと、このBDに書いてある物語がどこまでいっても真実だとよく分かる。2014/11/02