内容説明
本書においては、女性における思春期青年期発達に特有の傾向や課題を改めて振り返ってみることができればという視点から編集を試みた。女性と思春期というテーマは幅が広く、どういう角度から考えてみればいいのか、当初は考えあぐねていた。たとえば、特に身体的成熟に伴う内的な混乱や不安定という、いわゆる早期の思春期年代における心理的課題もあれば、親分離や異性愛関係の達成。アイデンティティの確立という、より青年期的な精神発達の課題もある。あるいは、思春期それ自体の視点もあれば、成人の内的世界における思春期的な心性をめぐる課題もある。そのすべてを網羅しようとすると際限がなくなるので、最終的には、内容についての制約を排し、事例を提供してくださる先生方に自由にお書きいただくことにした。
目次
1 思春期青年期少女における逸脱行動と立ち直りへの援助
2 思春期とアイデンティティ―母親からの分離をめぐって
3 あるべき娘像に縛られていた一人っ子A子との面接
4 思春期拒食症
5 不登校を呈した思春期少女の内的世界―“心の物語”としての面接過程