出版社内容情報
日本の古典芸能とされる歌舞伎の始源はどこに求められるのか。さまざまの要素から遡行の先に、意外な風景がみえ、源流の、したたり落ちる一滴にたどりつく。中国の民間芸能と共通する精神性や構造を解き明かし、日本的展開をとげた歌舞伎を問う。芸態はもとより櫓・舞台・花道、役柄・隈取までを俎上にのせる。はたして歌舞伎は日本特有の芸能か。〈主な目次〉特有と源流―プロローグ/歌舞伎の舞台(舞台の源流/日中舞台を支配する祭祀性)/歌舞伎の形成(お国歌舞伎はどのようにして誕生したか/大小の神々の送迎の意味するもの)/歌舞伎の興行方法(江戸歌舞伎と上方歌舞伎/翁と式三番/五という数字の意味―序破急の理論)/櫓・看板・花道(櫓/看板/花道)/色彩が象徴するもの(歌舞伎の隈取/中間表情と瞬間表情/隈取の色彩が意味する観念)/歌舞伎の演出(役柄の誕生/歌舞伎の演出の型)/歌舞伎舞踊(振りということ/歌舞伎舞踊の類型/歌舞伎舞踊はどのように構成されているか)
内容説明
歌舞伎は日本特有の芸能か、その源にあるものははたして何か、中国の民間芸能と共通する精神性や構造を解き明かし、日本的展開をとげた歌舞伎を問う。芸能はもとより、櫓・舞台・花道、役柄・隈取までを俎上にのせる。
目次
特有と源流―プロローグ
歌舞伎の舞台
歌舞伎の形成
歌舞伎の興行方法
櫓・看板・花道
色彩が像徴するもの
歌舞伎の演出
歌舞伎舞踊
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
俊介
10
江戸時代初期にはじまる歌舞伎は、直接的には、浄瑠璃、能などのそれまでの日本の伝統芸能の影響を受けているという。本書が面白いのは、さらなる淵源を考察しているところだ。ひとつには大陸芸能からの影響。これも興味深いが、古代祭祀との関連付けは秀逸だ。なるほどと思うことが多かった。そもそも芸能自体「神になりきる」ということに端を発するのか。いつしか神は中心から消えていき、純粋なエンタテイメントになって行く。その過程がとてもよく見えて来た。なぜ歌舞伎座の正面にはやぐらが立っているのか。これも祭祀と関係あるらしい。2020/05/14
日向夏(泉)
4
神社の構えなどの話は面白かったが、源流をどこに求めるかは憶測の域を出ないのではないか、という気が度々した。勉強にはなった。2019/03/07