内容説明
猛火の中を罪人が逃げ惑う凄惨な地獄と、荘厳甘美な極楽世界。この二つの風景は、今も日本人の意識の根底に生き続けている。その原点である『往生要集』は、どのような社会・時代的背景をもとに生れたのかを追究する。
目次
『往生要集』の説く地獄と極楽(来迎寺の六道絵;地獄道の苦しみ;地獄以外の諸道の苦しみ;極楽浄土の楽しみと往生の行)
『往生要集』成立の背景(念仏結社と源信;称名念仏と観想念仏)
『往生要集』成立の影響(念仏結社の人びとと『往生要集』;上流貴族社会と『往生要集』;地獄の系譜と『往生要集』)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ハルマル
4
往生要集に地獄を描いた源信がどんな人か。なぜ平安貴族や民間に信じられたか。古事記の黄泉国との比較…恐ろしい世界から一歩引き、冷静に考えられる。2019/03/22
maqiso
1
『往生要集』は地獄の詳細な描写が有名だが、念仏によって浄土に行くことを勧めるために書かれた。極楽と念仏の価値を説明するために書いた地獄の方がメインに受け取られているのが面白い。地獄絵との比較から『往生要集』の理論や受容のされ方まで幅広く書いてある。2019/07/11
石路睦
0
発表のために。『往生要集』の成立と受容が比較的わかりやすく述べられている。これをもとに他の資料を手繰り深めていけばなんとかなるだろうか2011/10/12