内容説明
中世的人間の典型“数奇の遁世者”西行。草庵閑居と廻国修行を多彩に織りまぜつつ、宗教・文学・政治・芸能・故実など、当代文化の全領域に活躍し、古代末期の波瀾の時代に独自の生き方を貫いたその生涯を鮮やかに描写。多くの史実を明らかにした『西行の思想史的研究』の著者が、一般読者人のために平易に興味深く紹介した伝記。
目次
第1 富士見西行をめぐって
第2 俵藤太の末裔
第3 佐藤義清の公私生活
第4 遁世の原因
第5 数奇の種々相
第6 仏道修行者として
第7 乱世の晩年
第8 没後の事ども
佐藤氏略系図
略年譜
史料・参考文献
感想・レビュー
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かふ
20
西行は数奇坊主(能因法師など)に憧れ出家したので、最初は仏門の意識は低かったが晩年になってから仏の道を目指すようになり、世に有名な「ねがはくは花の下にて春死なん そのきさらぎの望月のころ」を残したことで慈円や定家・俊成からも注目され、桜の西行とまで言われたが、それは釈迦入滅の一日後だったので、伝説として仏教説話などで拡がったという。そして漂泊する僧や連歌師たちによって地方へ西行の歌が伝えれて伝説の地になった。その最大の功績者は芭蕉であり、芭蕉の西行敬慕からさらに西行の歌の評価が高まったという。2024/02/27