内容説明
日本の労働者に先進諸国の労働者と比肩しうる労働条件や安定した雇用を提供してきた、日本の戦後和解の政治経済的意義とは何か。日本型労使関係の変革が性急にいわれるいま、気鋭の学者が、戦後日本の政治経済を、労働者の利益実現過程を分析する「労働政治」の切り口から解釈する。日本では、「統一と団結」を実現できなかった労働運動の「弱さ」ゆえに労働者の利益が守られてこなかった、とする通説的理解に変更を迫る書。
目次
序章 戦後日本の政治経済と労働
第1章 謎を解く鍵―労働政治のダイナミクス
第2章 変わる企業―1945年から50年代
第3章 豊かな労働者―1960年代
第4章 政治再び―1970年代
第5章 雇用保障の政治過程―産業構造変化と労働政治
第6章 堕落か新しい可能性か?―1980年代
終章 国際比較の中での日本の労働政治