内容説明
幕藩制社会は一定の商品流通、市場経済を前提として成り立った社会であったとしばしばいわれる。とすれば、その市場経済はどのような仕組みをもち、どのように機能していたのだろうか。本書は、この問題を、江戸時代において最も重要な財貨であった米を対象に、また江戸時代の経済の循環構造において最も枢要な位置を占めた大坂をフィールドに設定して、追究しようとするものである。
目次
第1部 大坂米市場の成立と構造―制度的分析(大坂米市場の成立;近世中後期大坂における領主米流通;近世大坂における米取引・流通機構;地方における年貢米の集荷機構―加古川流域を事例として)
第2部 大坂米市場の経済的機能―物価史的分析(大坂米価の短期変動と米市場の機能;米価変動と米穀需給構造;堂島米市場における帳合米取引の機能;地方米市場間の連関性と市場形成)