内容説明
アメリカは、他の工業諸国に半世紀も先がけて、1920年代前半には、自動車の世帯所有率50%を達成した。この事実は、同国における大衆消費社会の成立の早さをなにより雄弁に物語っている。本書は、その背景と同時に多方面にわたる影響を探ろうとする。革新主義は、消費社会の出現とどのような関係にあったのか。伝統的な価値観や家族・男女交際などの人間関係、娯楽のあり様は消費文化の洗礼を受けてどのように変化したのか。
目次
資本主義の発展と消費社会
1 大量生産の時代
2 大量販売・大量消費
3 消費文化と政治・社会
4 ウィクトリアニズムの動揺
5 男女交際・娯楽・消費文化
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
古戸圭一朗
1
アメリカにおける消費社会の誕生とその浸透の過程を概観。消費はそれまでの「階級」の垣根を超えるがゆえに社会を覆い尽くし、同時に階級を解体していくことで、「消費社会」に抗することが困難になった、というように理解した( 合っているだろうか?)。それこそ消費社会が世界を席巻し、現代まで及んでいる理由なのだろうか。2022/06/23
Omata Junichi
1
本書最後の一文「健全な娯楽、正しい消費がこうして国民的合意になったのである」が端的に示すように、消費社会において私たちがどのような規範を内面化するか、内面化させられていったのか、その過程を歴史的に叙述した本。消費行動における差異化のゲームの話とか、労働からの疎外とジェンダー規範の強化とか、福祉国家的な革新主義社会政策と独占企業の結合(SDGs!)とか、これが1920年代のアメリカなのかぁ、と思ってしまう。なんとなく上野千鶴子『家父長制と資本制』を読まないといけないな、と思った。2020/09/12
カラス
1
現代の原型とも言うべき大衆消費社会について書かれた本。なかばアメリカ論でもある。大衆消費社会がいかに人間の生活様式や意識を変えたかというテーマで、興味深い内容ではあったし、面白くもあったが、今までの人類の歴史においていかにこの社会が特異なものなのか、という点に関しては、比較が少なく、いまいちピンとこなかった。できれば、一章まるまる割いて、それについて語って欲しかった。といっても不満はそれくらいで、大衆消費社会がもたらした現象を広く見渡し記述した良い本だと思う。2018/02/19
ゆう
0
アメリカの大衆消費社会についてはよくわかった。しかし私が知りたかった大衆消費社会の発生についての解説は少し足りない気がした。2012/11/08
nappyon
0
地味に好きな世界史リブレットシリーズ。2012/01/30