内容説明
古代ローマの市民たちは、さまざまな姿で、歴史の舞台に登場する。あるときは、質実剛健で勇敢な兵士として、あるときは、自らの一票で国家の行方を決定するポリス的人間として、また、あるときには、繁栄を享受して刹那的な快楽に耽ける皇帝と民衆たちとしてである。本書では、このようなローマ市民たちの社会を多面的に描く。
目次
ローマ市民社会のイメージ
1 ローマ市民社会の形成
2 ローマ市民と政治
3 ローマ市民と家・社会
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
†漆黒ノ堕天使むきめい†
4
家庭教師は無知の知であれば出来る。深いなあ……。 「家」は2つの物を指している。そしてファミリアはまとめていくとネロ家とカエサル家となる。なるほどなー。2015/07/28
Schuhschnabel
2
『ポリス社会に生きる』に引き続き、古典古代の疫病についての講義の予習のために読む。ローマと言えば広大な版図を持つ帝国というイメージを持っていたが、当初は日本の古代国家の夷狄政策のように拠点となる都市をいくつか押さえているだけだったらしい。元老院は日本の国会の予算委員会みたいな感じだったのかな。細かいところだが、民会での投票のとき、賛成が「提案どおり」、反対が「以前のまま」のそれぞれラテン語の頭文字のVとAで表されているのは、何が何でも反対とはなりにくい気がしていいなと思った。2021/04/18
モッチー
2
共和政期以前を中心として、ローマの市民社会を、その形成史(第1章)、ローマ市民権と政治機構(第2章)、ローマ市民と家(ファミリア)・都市への贈与(第3章)のテーマで概説した本。中小農民の没落によってローマが危機の時代に突入していったという理解は本当に正しいのか、マリウスの兵制改革がローマ軍の私兵化の端緒となったという理解は本当に正しいのか、ローマの社会は典型的な奴隷制社会と本当に言えるのか、といった、いわば高校世界史の「図式的理解」をつき崩してくれる記述が随所にあって面白かった。2020/07/30
watershed
2
マキャベリのディスクルシーを読んでローマの基本的な仕組みを勉強する必要を感じた。その点では執政官、護民官、元老院、民会等の組織と、プレブスとパトリキ等の政治勢力が手際よく解説されており役立った。2017/12/30
瀬川
1
世界史リブレットは読みやすさと参考文献へのアクセスしやすさにより、良い本になっているのだ。2019/07/13