感想・レビュー
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きいち
36
私たちのこれまでを作ってきた生活文化のなりたちを考える前提として、それを育んできた村と町のなりたちを踏まえておこうという試み。随所に宮本らしい<生活を営む人々を主体>とする見方が現れて居住まいを正させられる。例えば町のなりたちなら、平城京でも城下町でもなく河原者や山の盆地への商人の定住から語り起こされるし、開拓の歴史なら条里制が成功したのは圧政のためではなく生産増大への期待だろう、と。1964年、権力者によるものでもそれへの抵抗によるものでもない民衆の歴史をまとめていこうとしはじめた時期の論考。若々しい。2017/03/26