出版社内容情報
「文化的流行と宗教史」「世界・都市・家屋」「死の神話学―序説」「オカルトと現代世界」「ヨーロッパ魔術に関する二、三の見解」「霊・光・タネ」の六つの講演・論文を収録する。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
roughfractus02
8
ユングは集合的無意識を仮説する際に「オカルト」とされた錬金術や東洋思想を、五感で処理できない非人間的な共時性レベルで捉え直そうとした。一方著者は、この語が主義や流行となる16世紀から現代までの歴史を辿り、この語の使用に、容易に真理に到達すると信じる楽観主義と人間中心主義を見出す。小論集である本書だが、この語に対するユングの手続きを念頭に読むと、歴史から検証して批判する著者の態度が理解できる。本書は、魔術や文化流行の俗的解釈の向こうに、語り得ない始源としての聖を目指して生きる、様々な人間行為を見ようとする。2021/07/15