出版社内容情報
現代社会における際だった特徴は、世界中で起こっている悲惨事を目にする機会が無数に存在するということである。戦争やテロなど、残虐な行為を撮った映像はテレビやコンピューターの画面を通して日常茶飯事となった。しかし、それらを見る人々の現実認識はそうしたイメージの連続によってよい方向へ、例えば、戦争反対の方向へと変化するだろうか?
本書は、戦争の現実を歪曲するメディアや紛争を表面的にしか判断しない専門家への鋭い批判であると同時に、現代における写真=映像の有効性を真摯に追究した最新の〈写真論〉でもある。自らの戦場体験を踏まえながら論を進めるなかで、ソンタグは、ゴヤの「戦争の惨禍」からヴァージニア・ウルフ、クリミア戦争からナチの強制収容所やイスラエルとパレスチナ、そして2001年9月11日のテロまでを呼び出し、写真のもつ価値と限界を検証してゆく。さらに本書は戦争やテロと人間の本質、同情の意味と限界、さらに良心の責務に関しても熟考をわれわれに迫る、きわめて現代的な一冊である。
Susan Sontag(スーザン・ソンタグ)
1933年生まれ。現在アメリカで最もよく知られ賞賛されている作家・批評家の一人。長編小説にはThe Benefactor、『死の装具』(早川書房)『火山に恋して』(みすず書房)、In Americaがある。また、短篇集や戯曲、『写真論』(晶文社)『隠喩としての病い・エイズとその隠喩』(みすず書房)などのエッセイがある。さらに四つの長編映画の脚本執筆と監督をし、アメリカとヨーロッパにおいて劇の演出も手がけているが、その中には、包囲されたサラエヴォで上演されたベケットの『ゴドーを待ちながら』の演出も含まれる。2001年に「イェルサレム賞」を受賞。
北條文緒(ほうじょう・ふみを)訳
1935年東京に生まれる。1958年東京女子大学文学部英米文学科卒業。1961年一橋大学大学院社会学部研究科修士課程終了。現在 東京女子大学現代文化学部教授。イギリス小説専攻。著書・編著『ニューゲイト・ノヴェル』(研究社)『ヒロインの時代』『遥かなる道のり イギリスの女たち 1830~1910』(共編著、国書刊行会)エッセイ集『ブルームズベリーふたたび』(みすず書房) 800字短篇集『嘘』(三陸書房) 訳書E.M.フォースター『眺めのいい部屋』『永遠の命』『アビンジャー・ハーヴェスト』(共訳)『民主主義に万歳二唱』(共訳)、Q.ベル『回想のブルームズベリー』(共にみすず書房)ほか。
内容説明
写真は戦争やテロに対して抑止効果をもつのか?ゴヤからコソヴォ、9・11へ、自らの戦場体験を踏まえつつ、戦争の惨禍と映像の関係を追究した最新の写真論。
著者等紹介
ソンタグ,スーザン[ソンタグ,スーザン][Sontag,Susan]
1933年生まれ。現在アメリカで最もよく知られ賞賛されている作家・批評家の一人。さらに四つの長編映画の脚本執筆と監督をし、アメリカとヨーロッパにおいて劇の演出も手がけているが、その中には、包囲されたサラエヴォで上演されたベケットの『ゴドーを待ちながら』の演出も含まれる。2001年に「イェルサレム賞」を受賞
北条文緒[ホウジョウフミオ]
1935年東京に生まれる。1958年東京女子大学文学部英米文学科卒業。1961年一橋大学大学院社会学部研究科修士課程終了。現在東京女子大学現代文化学部教授。イギリス小説専攻
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zirou1984
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