ゾルゲの見た日本

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  • サイズ B6判/ページ数 227p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784622070443
  • NDC分類 391.6
  • Cコード C1031

出版社内容情報

〈もし私が平和な社会状態と、平和な政治的環境のもとに生きていたとしたら、たぶん私は学者になっていただろう――少なくとも諜報員になっていなかったことだけは確かである〉

内容説明

1930年代、日本を舞台に世界を変えた男、リヒャルト・ゾルゲ。スパイとして、ジャーナリストとして、知識人として、ゾルゲは戦前の日本、われわれが失いつつある「昭和」の時代に何を見たか。「日本の軍部」、二・二六事件を鮮やかに描いた「東京における軍隊の叛乱」、研究と調査の結果にゾルゲの思いを記した「日本の農業問題」はじめ、ドイツの新聞の特派員、ナチス党員を装いながら、ドイツの雑誌に発表した日本についての論考6編に、獄中手記の一部である「日本における私の調査」を収録。さらに付録として、ナチス・ドイツのソ連侵攻、すなわち1941年6月22日のバルバロッサ作戦についての諜報をピークに、ゾルゲがモスクワに宛てた「秘密通信」を加えた。巻末には、戦後の冷戦構造にまで影響をあたえた「ゾルゲ事件」の全体像を包んだ、小尾俊人「歴史のなかでの「ゾルゲ事件」」を付す。

目次

1 日本の軍部
2 東京における軍隊の叛乱(二・二六事件)
3 日本の農業問題
4 日中戦争中の日本経済
5 日本の膨張
6 日本の政治指導
7 日本における私の調査
付 秘密通信(東京‐モスクワ)

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

蘭奢待

16
ドイツ国籍でソ連のスパイだったゾルゲ。ドイツの新聞社の東京特派員として来日し、微にいり細にいり日本を研究した。その成果は本書に詳しく、日本の国体、軍隊、産業、中国戦争をテーマかとした論文が掲載されている。スパイというよりも研究者とも言うべき調査内容。氏曰く、歴史や背景を知らずして表面的な出来事だけをレポートしてしょうがないという。知識不足で、当時のこの事件の重大さは、今一つ実感がわかないが、この研究姿勢には敬服の感さえいだく。2018/07/17

CCC

3
本人の自負する通り、書いてることはスパイじゃなくて完全に学者。しかも卓見。立場はともかく日本の正しい理解者だったのが分かる。処刑されているのが惜しいくらい。2013/04/18

tohoho

1
もし私が平和な社会と政治的環境のもとに生きていたら、多分私は学者になっていただろうと述べているように、古事記の英訳本・万葉集の独訳本から古代政治経済史等々、日本に関する千冊足らずの蔵書だけでなく、日本各地を丹念に見て回り、文化・芸術の発達にも興味を示し、それらに触れている。諜報行為は治安維持法・国防保安法・軍機保護法・軍用資源秘密保護法に違反するということで犠牲になった。名誉回復されるまでに20年も掛かっている。2019/04/05

100名山

1
ゾルゲ事件の本は巷に溢れるが往々にして人物中心で客観性がない。 それに対してこの本は本人が書いたものだから立派な一次資料。 ゾルゲは学者でした。 ノモンハン事件で懲りた関東軍が北進をしないことをゾルゲが本国に知らせ シベリアのソ連軍がモスクワに戻り、対ドイツ戦を逆転させたこと。 英米の輸入に頼る経済、半年分の資源しかないのに、あり得ない「真珠湾攻撃」 を仕掛けようとする日本軍を簡素に記述します。 2014/01/23

天婦羅★三杯酢

1
特派員としてドイツの本社に送った日本の分析が「(敵たるドイツに)与える情報はできる限りの最小限度」との本人談とは裏腹に、ドイツにおける日本研究の第一級資料として使われているという、その事だけでも驚愕すべき。しかも彼は今の私と同い年でこれをやってのけていたのだ。2014/06/07

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