内容説明
社会主義とは何であったか―。この大きな問題に対し、マルクス主義理論、国家政策、指導者の言動などの分析に力がおかれるあまり、実際に社会主義の下で生活し、その実験台となった人々の意識を探ることはなおざりにされてきたのではないか。本書では、できるだけ多くの実例を紹介することによって、社会主義制度の下に演じられた中国民衆全体のドラマを描き上げ、社会主義という歴史現象をどのように解釈すべきかに迫る。自ら文革世代の経験をもつ歴史研究者の意欲作。
目次
1 中国を見る眼(社会主義の世紀;理想論、感情論の陥穽 ほか)
2 中国民衆の意識変遷史―一九四九~八五年(「新中国」旗下の結束 一九四九~五二年;社会主義改造への困惑 一九五三~五六年 ほか)
3 社会主義とは何か(社会主義衰退の原因;社会主義における「人間」の問題 ほか)
感想・レビュー
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ハンギ
1
中国の方が日本語で書いた本なので(もとは岡山大学の特別講義として発表)表現の違いを少し感じたけど、面白く読めました。社会主義だけど1970年代後半の開放政策の元、資本主義化を果たし、社会主義と資本主義の折衷で頑張る中国の姿は興味深いのですが、中国は社会主義と言われながら、個人の所有への欲望を抑えることはすごく難しいのだと書かれてありました。1980年代になると、マルクス主義を支持するのは数パーセントではないか、という意見も聞かれるほど。また社会主義であっても特権階級はいたらしく、嫌だなあと思いました。2012/04/18