出版社内容情報
冤罪か、巧妙な企みか。法廷を舞台に暴かれる「冤罪」の真実。15年前の殺人事件の秘密が今明らかになる!
内容説明
ある嵐の晩、資産家男性が自宅で命を落とす。死因は愛車のエンジンの不完全燃焼による一酸化炭素中毒。容疑者として浮上した被害者の甥、日高英之の自白で事件は解決に大きく向かうと思われたが、それは15年前の殺人事件に端を発する壮大な復讐劇の始まりだった。“犯罪者”を執念深く追い詰める警察・検察、英之を献身的に支える本郷弁護士、その依頼で事件調査を始めた元リストラ請負人の垂水、恋人の無実を信じて待つ千春。それぞれの思惑が絡み合い、事件は意外な方向に二転三転していく…。稀代のストーリーテラーが満を持して放つ!これぞ現代日本の“リアルホラー”
著者等紹介
貴志祐介[キシユウスケ]
1959年大阪府生まれ。京都大学経済学部卒。96年「ISOLA」が日本ホラー小説大賞長編賞佳作となり、『十三番目の人格ISOLA』と改題して刊行される。97年『黒い家』で日本ホラー小説大賞を受賞、2005年『硝子のハンマー』で日本推理作家協会賞、08年『新世界より』で日本SF大賞、10年『悪の教典』で山田風太郎賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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starbro
212
貴志 祐介は、新作をコンスタントに読んでいる作家です。本書は、冤罪二世法廷ミステリ復讐譚でした。帯にリアルホラーと書かれていたので、ミステリからホラーに転生するのかと思いきや、ミステリのまま想定内で終了しました。最期にサプライズがあれば、もっと好かったですが、今年のBEST20&ミステリBEST10候補、久々読書に没頭し、電車を乗り過ごしそうな勢いでした🐰🐇 続編もありそうな気配です。 https://mainichibooks.com/books/novel-critic/post-660.html2024/03/12
hiace9000
136
権力の横暴に抗する反逆の大義か、それとも幾重にも塗り固めた漆黒の私怨か。自身の命運を賭け、薄氷の上に躍り出て駆ける「狡兎」が見つめた先ー。そこにあるものとは何だったのだろう。二重三重の絡繰で周囲を非情の罠に絡める迫真の嘘は、読み手をも闇堕ちさせる不穏で強烈な引力。ジリジリと追い詰める法廷ドラマの緩急を楽しませながら、読み手を代弁する謙介目線を用い、どこか不穏な違和感をもちながらも、読中日高青年のギリギリの闘争と逃走を支援してしまうはず。だが、ふと足元を見れば、自らも薄氷に乗っていたことに慄然とするはずだ。2024/04/18
ゆみねこ
88
資産家の叔父を殺害した容疑で逮捕起訴された日高英之。取り調べは過酷で供述調書に署名捺印させられ裁判に。そこで無実を訴え、検察・警察を相手に息詰まる法廷劇が始まるが、英之の目的は自身の無罪を勝ち取ることでは無かった。英之の弁護をする本郷弁護士、その依頼を受けて事件の調査をする垂水と英之の恋人・千春。分厚さに一瞬怯んだが一気に読了。2024/04/04
はにこ
79
父が冤罪により獄死してからのち、自らも冤罪に問われる。一度は自白させられたのにどんどん覆していく手腕がすごかった。状況証拠を覆して、検察を追い詰めていくのが迫力満点。父の冤罪を晴らすために病的に突き進むのが薄気味悪かった。でも検察官側が追い詰められていくのがちょっとスカッともした。2024/03/31
のぶ
70
貴志さんは近年、自分の満足のできる作品がなかったが、久々にエンタメとして楽しめる本だった。資産家男性が一酸化炭素中毒で命を落とす事件から物語は始まる。容疑者として被害者の甥、日高英之が逮捕され執拗な取り調べの末、自白したが英之の父親は15年前の殺人事件で有罪となり、獄中死していた。英之はそれが冤罪だと信じて疑わなかった。そんな設定で進むが、全体の大半を占める裁判シーンは迫力満点で、読みだしたら途中で止められなかった。しかし裁判の後の展開には納得しづらいものがあって、すっきりした読後感にはならなかった。2024/04/18