内容説明
いまだ中国・台湾間で帰属の曖昧な、現代史の生んだ“空白の島”金門島。藤堂義春は、日本を離れ、金門島と台北を拠点に偽造品ビジネスに手を染めていた。ある日、突然のように藤堂の周りに事件が起きはじめ、それは藤堂の知人を次々に巻き込み、ついには藤堂へと絡みついていく。次第に明らかになる、藤堂の抱える「ある事情」。事件は、いったいなぜ起きたのか…。表題作の他、台湾・瑞芳鎮を舞台にした『瑞芳霧雨情話』を収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
sagatak
6
船戸さんの台湾ものということでどんな事を調べてあるのかと興味があって読んだ。金門島は知っているが90年代以降そんな状況だったとは知らず驚きがあった。しかしストーリーのほうはあまりにてんこ盛り過ぎて読み進むに連れ疲れた。併録の瑞芳霧雨情も似たような展開、総てが最後にあまりに収束しすぎる感じ。旅情も吹っ飛びました。もういいかな… 2016/11/27
トランザム7000
2
再読。金門島。台湾と中国の間に浮かぶ歴史に揺さぶられたこの島で、いくつもの血が流れる。初期船戸与一作品に比べると主人公が俗物的であり世界観に広がりがない。しかし、流れる空気感は相変わらず魅力的で金門島に行ってみたくなる。金門島は『何もない』島のようだけど。2021/02/06
Hisatomi Maria Gratia Yuki
0
探検部出身の著者は、徹底した取材を元に小説を書くという。すると、これも台湾の顔のひとつなのだろう。しかし、あまりにもずしりと重く、暗い。わたしが久々にノワール小説を読んだからかもしれないが。2013/12/12
takehiro
0
台湾についてもっと知りたくなった。2011/05/06
奥 清衡
0
並盛。